星空めてお 『ファイヤーガール』

 型月の星空めておが描く、未開拓惑星への冒険譚。地の文が主人公から一歩離れたところから穏やかな語り口で綴られるものだったり、物語が始まってからなかなか冒険に行かないで、上巻ずっと主人公の少女の人となりを、エピソード中心に仄めかす程度の距離感で描く構成(紙幅に余裕があって焦る必要がなかったのかも知れないけど)だったり、なんか知らんが非常に安心感のある構成。まあそこが逆に違和感に繋がって、全6巻の構想にちょっと物語的な不安もないではないんだけど、でもまあそれを、なんというか、悪意方向なりグロ方向なりを、裏切って驚かせるためだけにやるような下品なことはしないだろう、全体の雰囲気を最初から最後まで大事にしてくれる作家だろう、という程度にはこの作家への(あるいは型月への)信頼はある。

ファイヤーガール1 虚惑星の魔法使い 下巻【書籍】

ファイヤーガール1 虚惑星の魔法使い 下巻【書籍】