貴志祐介 『悪の教典』

 有能なサイコパスが高校教師をやりながら、その有能さで学校内を牛耳るんだけど、途中で引っ込みがつかなくなって自分の担任してたクラスを一学級皆殺しにする、みたいな話。なんかねえ、出てくる教師や生徒が、まあそれぞれなんか能力があったり変だったりするんだけど、更にそれぞれその分を越えて「自分はこうこう、こういう風に変ですよ!」っていうのを声高に主張してくるので、それが無慈悲に殺したり殺されたりしたところで、どうにもfictitiousで喜劇的。題材も似てたけど、映画版の『告白』が爆発シーンにわざと安っぽいCG使ったりしてた、あの演出に通ずるような、意図された嘘臭さ。

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)