スウィフト 『ガリヴァ旅行記』

 小人の国や巨人の国への旅行記風の童話として知られるやつ。この実際の原作は、航海が一般でない頃の、旅行記を騙ったファンタジーであり、そして何より時代風刺の色が強い当時の問題作。よく知られている最初のその二篇、小人の国と巨人の国とへの部分は、当時のイギリスの特定の貴族を諷してたりして、まあ今読む分にはどうでもいいんだけど、後半のあまり知られてないとこ(ラピュタの名前の元ネタとか、あんきパンみたいなやつとか出てくる)になると、まあ人間一般の醜悪さ、そして自分もその人間であることの絶望みたいなのが蠢いていて、まあ読んでいてもどうしようもない。個人的には、ファンタジー部分を素直に、巨人のスケール感やそこでのありそうな事件なんかを身体感覚的な表現で書き表す想像力を読んでて面白かったけどね。

ガリヴァ旅行記 (新潮文庫)

ガリヴァ旅行記 (新潮文庫)