C.S.ルイス 『ナルニア国ものがたり』
最近映画化もされた、有名な英国ファンタジー。ちなみに個人的には、挿絵が怖くて読めなかった20年前のリベンジ。
そうねえ、まあ完全に対象年齢を外した人が読んで正しい評価が出来るとは思えないけど。正直、現在の日本で読んで、そんなに面白いかというとよく分からない。書かれたのは5,60年前だし、あとキリスト教の前提知識が無いと、ちょっと理解しづらいところが多いと思う。あのねえ、聖書のエピソードを踏まえたオマージュ的な冒険物語を通して、これまたちょっと古めのキリスト教的価値観を植え付けるんだ。善悪のはっきりした二元論と、アスランというキリストを思わせる万能者のデウス・エクス・マキナめいた教化と勧善懲悪。悪を打ち倒すことに一切の慈悲は無い辺り、一神教的血腥さが鼻についたりもする。逆に、その宗教的センスによる、一線を越えた後のえらい法悦感が時折あったりして、それはちょっと凄かったりする。ラストとか、キリスト教的死生観が無いと無茶苦茶だろ。
もちろん名の通ったファンタジーとして、1つの世界を構築して、7冊のシリーズが変なところで繋がり合ったりするのも面白かったりするんだけど。やっぱり、お手軽にキリスト教的なものを楽しめるものとして、かなあ。
ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)
- 作者: C.S.ルイス,ポーリン・ベインズ,C.S. Lewis,瀬田貞二
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カスピアン王子のつのぶえ―ナルニア国ものがたり〈2〉 (岩波少年文庫)
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朝びらき丸東の海へ―ナルニア国ものがたり〈3〉 (岩波少年文庫)
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