上田一生 『ペンギンのしらべかた』

 マクロ寄りから野生のペンギンの生態について調べている、研究にスポットを当てた一冊。まあペンギンを好きな人で、既にペンギン18種の名前くらい諳んじれる程度の人が、「じゃあこれまで自分が読んできた本を、書いてた人たちはどんな人なの、どうやってペンギンを調べてきたの」みたいな感じで読むのがいいのじゃないかしら、というところ。結構前からペンギンについてコミットしてきた著者だけあって、研究手法の時系列的な整理がかなり纏まっていて、まあ仕事柄"最新の研究"についても興味を持ってしまう俺みたいな人間には、とても面白い。まあ最終的な研究者への取材の部分は、他にその研究者が出してる一般向けの著作から引用してる部分も多くて、ちょっとがっかりするところもあったんだけど。個人的には、近年あった重油の流出事故によるケープペンギンの保護の話が、まあ「実益と研究の一致」って感じで熱かったですね。

ペンギンのしらべかた (岩波科学ライブラリー)

ペンギンのしらべかた (岩波科学ライブラリー)