F&C FC01 『こなたよりかなたまで』

 2003年だったかな、のわりと旧作。当時、ぼちぼち「F&C、ねえ……」ってみんななりかけてた頃に、このKOTOKOのOP曲『Imaginary affair』を携えてのデモムービー公開時の衝撃はなかなかのものでございました。そのOP曲は言わずとしれた名曲、EDはMOMOの『こなたよりかなたまで』もなかなかの出来、BGMも井内舞子で、I've好きとしては全然音買いが出来るレベル。
 シナリオは健速乙。まあよく氏のシナリオを評して言われる「主人公がなんか見えない敵と勝手に戦っててしかも超かっこいいことになってて読み手置いてきぼり」みたいなのはこれにも結構あって、でそれを物語的に担保してるのは主人公の末期癌患者という設定なんだけど、それもなんだか、別にそこまで賭け金を釣り上げなくてもいいんじゃね、という感じはちょっと。そんなの使わなくてもなあ、というか。まあそれも突っ走って行くとこまで行ったらそれはもうライターの個性で、佐倉シナリオなんかは一旦のめり込んでからはわりとテンション高く読めたりはしたか。あとは、この物語は終盤っつうかEDのその先までやってこそだろ、ちゃんと佐倉に看取らせろ、と思ってたけど、最後に残しておいたクリス真EDを見ると、他ルートのEDすら布石にするような納得できる形、1つのテーゼに纏まってて、それで最後を締めたあとは好印象。

こなたよりかなたまで 初回版

こなたよりかなたまで 初回版