D.O. 『Crescendo〜永遠だと思っていたあの頃〜』

 元祖姉ゲーなんて言われたりする懐かしの一作。これ、俺がエロゲオールタイムベストを選ぶと間違いなく上5本には入ってくるくらい好きなんだよね。水無神知宏が3人称で綴るシナリオ、原画の紫川弓夜の少女漫画風味の絵、Scott Joplinのピアノラグを用いたBGMと、その瀟洒な雰囲気は発売から9年経っても色褪せない。卒業前の最後の5日間を描きながら回想を挟んでいくという構成からして既に漂う寂寞感、そこに四角関係を絡めて誰かしらを傷つけては許されてしまうところまでが甘くも忸怩たる文芸部組、ただただ自分の幼さを文字通りの痛みで痛感させられる年上組、ヒロインの諦念が物哀しい音羽と静原。そうねえ、久しぶりにやり直して、相変わらず年上組、ねえちゃんの(いい意味での)酷さは言うまでもなく、特に先生シナリオで年の差を見せつけられて臍を噬むあたりは何度やってもたまんないんだけど、今回一番印象が変わったのは音羽かなー。デート中に視点と心情描写が移って、その内心の諦めと束の間の至福がぼろぼろと溢れ出すあたり、ほんと綺麗。

Crescendo?永遠だと思っていたあの頃?Full Voice Version 復刻版

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