ジッド 『狭き門』
幼馴染みでお互い相思相愛なこともわかってる2人の片方、アリサって女の方が頑なに宗教的な清らかさを貫いて、ジェロームっていう男主人公を拒み続ける話。作者の自伝的な要素も多分に含まれていて、その清教徒的なものへの批判的な意味のある作品、なんて言われたりするけど、聖らかに天上的な愛を目指し続けるアリサが綺麗で、アリサのいる田園風景が輝いていて、普通に読んだら多分そんな批判は(1人称であるジェロームの視点からはちょっとわかるけど)気付かなかったと思う。天も地も選ばなかったジェロームのヘタレっぷりの方がよっぽどイラつく。そらまあアリサはアリサで、口先ばっかで実際のジェロームのことなんざろくすっぽ見ちゃいないっちゃそうなんだけど、でもそんなんジェロームが高みを目指さなかったせいじゃんねー。生き方の方向性としてアリサの志向性は好きなんだよなー。
- 作者: ジッド,山内義雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1954/08/03
- メディア: 文庫
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