小林登志子 『シュメル―人類最古の文明』

 B.C.4000〜2000くらいにメソポタミアにあった文明についての本。暗に設定された視点は現代日本人からのもので、そういう目で見たときに面白いもの、共感できるもの、不思議に思うもの、というようなことに関して書かれていて、理由なくこの本を手にとっても、新書にしてはそこそこある頁数が苦にならない程度の面白さは充分に持っている。書き方の問題としてもそうだし、古代文明の持つ魅力としても。なんと言っても、だいぶ解読済の楔形文字と、それが書かれた粘土板の耐久力による、現代に残ってる情報量が豊富なのが大きそう。通史としての説明は最初に少しあるくらいで、あとは印章だとか学校だとか石版だとかのわりと個々の話を中心に進めるので、学としての知識になるものではないんだけど、興味を持たせるには充分。いやしかし粘土板の強度すげえな。何万枚とかで数千年残るとかなー。

シュメル―人類最古の文明 (中公新書)

シュメル―人類最古の文明 (中公新書)