100521-22

  • ぽるちん
    • 2章読了。一般的なOPEのイメージだとか、ユニタリCFTだとか。道具立てに終始した章なので不完全燃焼感半端ない。

 鬼瓦くんちはチューインガム・ブラザーズ。鬼瓦3兄弟の家に代々伝わる生まれ持った魔法の力で、主に道路に落ちてる軍手を遠隔操作して通行人をびっくりさせて小銭を脅し取るという形でそれぞれが全国各地で集めたお金を、一念発起、7年前にみんなで持ち寄って鬼瓦チューインガム・夢工場in名古屋を作ったんだね。そこでは、長男の長鬼瓦くんが産んだチューインガムの卵を次男の次鬼瓦くんが暖めて、んで孵化したチューインガムの雌雄を三男の三鬼瓦くんが見分けて、メスのチューインガムだけを出荷しているんだね。オスのチューインガムはまとめて燃やします。何故なら、長鬼瓦くんは燃えてるガムを見ると性的興奮を覚えるタイプの長男だったからです。というかその為だけにガム工場を造ったと言っても過言ではない。長鬼瓦くんはしたり顔でそう語ってくれました。
 さて、三鬼瓦くんのお仕事、チューインガムの雌雄鑑定ですが、これがなかなか大変だ。雌雄を見分けるチェックポイント、なんとその数127。ざっと例を挙げてみると、オスのチューインガムにはスネ毛がびっしり生えていますがメスのチューインガムには胸毛がびっしり生えています。オスのチューインガムは指で押すとむんにょりとしますがメスのチューインガムはムンニョリとします。オスのチューインガムは巾着袋に入れて持ち歩くと楽しい気分になれますがメスのチューインガムを巾着袋に入れて持ち歩くとどんよりした気持ちになります。一番見分けやすいところでは、オスのチューインガムは火を付けるとよく燃えるというのがあるのですが、そんなことをした日には、ガムの燃える匂いを嗅ぎつけた長鬼瓦くんが大興奮のあまり失禁してしまうので、工場の生産ラインが完全にストップしてしまうのです。だから三鬼瓦くんは雄雌の細かい違いをいちいちチェックしていかなくてはならない。しかし127のチェックポイントは到底覚え切れたものではない。困った三鬼瓦くん、自分の掌から肩に至るまで、びっしりカンペを書き込んでおくことにしました。三鬼瓦くんには女装癖があり、あらかじめ腕はわりと美白に保っておいたので、127のチェックポイントを書き込むのにも充分だったのです。三鬼瓦くんはしたり顔でそう語ってくれました。
 それを羨ましく思ったのが次鬼瓦くん。アタイも腕に何か書いておきたいわ。しかし次鬼瓦くんのお仕事、卵を暖める作業にはそんなに覚えておくことなんてありゃしません。長鬼瓦くんから卵を受け取って電子レンジに放り込んでスイッチを入れ、チンと音がしたら孵化したチューインガムを取り出して三鬼瓦くんに渡しにいくだけのことですもの。次鬼瓦くん、自室で普段使いしているベビーカーに乗りながら思いに耽ります。ちなみにベビーカーには主にA型とB型があるけど、A型の方が寝たまま乗れるので安心感半端ない、A型ベビーカー超気持ちいい。次鬼瓦くんはしたり顔でそう語ってくれました。
 考えるに考えた次鬼瓦くん、いいことを思いつきました。そうだわ、アタイってば魔法使いじゃない、何か1つのことを書いておくより、その時々に合わせた便利情報を自動更新して表示しておけるように魔法をプログラミングしておけばいいのよ! さっきから放尿を我慢している次鬼瓦くん、早速その作業に取りかかり、右腕にお役立ち情報を浮かび上がらせることに成功したのです。ちなみに左腕には油性ペンで「赤子泣いても蓋とるな」と大書しておきました。電子レンジの極意ですね。
 すっかり出来映えに満足してベビーカーの中で横になっていると、その右腕の表示が、これまでのお役立ち情報:「放尿はトイレに行ってした方が後片付けとか何かと便利」から「右肘は逆に曲げると折れる」に更新されたのです。何のことかしら。不思議に思い身を起こしたその拍子、大きな音をたてて遂に次鬼瓦くんの乗っていたベビーカーが崩壊してしまったのです。ガラガラドガシャン。宙に放り出された次鬼瓦くん、案の定、とっさに床に突いた右腕が全体重を支えきれずに逆方向に曲がってしまいましたとさ。床に倒れた次鬼瓦くんの、律儀に普段とは逆の方向に曲がっている右腕に沿って表示される次のお役立ち情報は「すげえでかい隕石を、オスのチューインガム以外のガムから作った風船で受け止めようとすると、失敗して地球が滅びる」。右腕は痛いし情報の意味はわかんないし、もう立ち上がる気力もない次鬼瓦くん、そして次鬼瓦くんの部屋に長鬼瓦くんが駆け込んできて叫びます。「いま、地球にすげえでかい隕石が向かってきてるらしいぞ!」やっぱ最後は愛だよね!