十文字青 『ヴァンパイアノイズム』

 これは読むのしんどいなー。前半部分しんどい。ちょっと山を抜けたと思ったら後半もまたしんどいけど。なんつうの、たった1枚目の膜をめくっただけで"世界の裏側"とか全部を見通した気になって勝手に諦めて達観した気になってるけど、"諦観"というほど我を捨て切れてない主人公とヒロインがもううざくてうざくてしょうがねえ。後半の死についての話だって、なんだよそんなものも諦め切れてないのにあの前半部分かよとしか思えん。正解としての存在というか、どうせ突き抜けるならここまでやってからにしろ、というカウンターの意味での小野塚という配置を見ると、まあこの痛さも勿論計算して全部書いてることもわかるし、最後の終着点はわかるんだけど、まあそれにしたって気持ち悪くてしんどい本でした。これで褒めてるよ、結構。

ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫)

ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫)