津田大介 『Twitter社会論』

 ついった本。最初に幾らか用語解説などのイントロダクションはあるものの、基本的には「twitterがこれまでにリアルに対して与えた事件一覧」みたいな本。ジャーナリストだけあって、個々の事件の要点が上手くまとまっていて、知ってたことに対しては「そうそうあったあったこんなこと」っていう実感と、知らなかったことに対しては「なるほどねえ」と思わせるいいまとめであり、また、その隙間隙間に著者の哲学的信念みたいなのがちらほら出てくる。
 なんだろうな、「普通の人が普通のこと言ってるのをいっぱい並べるだけで人間というコンテンツは面白い」というのが直接書いてあるには書いてあるものの薄い、個人がtwitterを使いたくなるのはそこだろうに、という感はちょっとある。そこじゃなくてリアルとの繋がりをそういう意味では若干ビジネス向けかなあ。そこと、個人として筆者が実感しているだろうtwitterの楽しみ方の狭間みたいなところが見えなくもない。『社会論』だし悪いことじゃないと思うけど。まあ個人に対しては「とにかくアカウント作っちゃえよ」って言いたくなるサービスだしね。
 兎にも角にも、twitterにどっぷり漬かった著者が書いた「実感」と、こうなって欲しいという社会全体への「希望」が詰まった面白い本だったかと。それはまあ、アーリーアダプタ既得権益の確保とかそういうケチなあれではなく、ね。

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)