シュレディンガー 『生命とは何か』

60年以上前の名著、だそうな。当たり前だがその後も学問は続いているわけで(というよりこの本を読んで感銘を受けた人が進めたところも大きい)、使ってる言葉や知識が古かったりなどもあるんだけど、その「負エントロピー」などの発想の斬新さなどは今読んでもなかなか。それを着想した哲学の部分がちゃんとエピローグに切り離されて書かれているんだけど、そこがいちばん面白かったかな。
個人的にはあんまり書題の疑問に興味は無い、というか全部今あるもの全部くるめるように作ればそれでよかろう、あんまりごちゃごちゃこねると定義の方が勝手に哲学的意味を持って一人歩きし始めるからめんどくさいぞ、程度にしか考えてないのでどうでもいいですわ。それでも自分が疑問に思ったことに向かって、自分が今持ってる知識で立ち向かって、結局どでかいマイルストーンをぶち立てたシュレディンガーはすげえなとは思うけど。そういう意味では、物理屋としてはどこまで「専門外」「門外漢」という言葉を使って(こんな言葉を使う羽目になって誤魔化し以上の意味があるかね)いいのかとかいう方が悩ましい。
生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)