恩田陸 『夜のピクニック』

最近の新潮文庫ってのは文字が大きいんだなあ。学校行事で80kmだかをみんなで歩く青春小説。キャラがラノベみたいにしっかり立ってるのと、なかなか話が進まない前半部分と、登場人物のテンションの緊張に伴って急に話が進みだす後半とでメリハリが利いていてやたらとあっさり読めてしまった。個人的にはもっと冗長の方が好きだけどね、80kmだぜ。その辺りを

 あとで振り返ると一瞬なのに、その時はこんなにも長い。一メートル歩くだけでも泣きたくなるのに、あんなに長い距離の移動が全部繋がっていて、同じ一分一秒の連続だったということが信じられない。
 それは、ひょっとするとこの一日だけではないのかもしれない。

というメッセージ(わりと何回か繰り返される)で処理するのが良い青春小説と言われる所以なんだろうな。
夜のピクニック (新潮文庫)