西部邁 『ニヒリズムを超えて』

保守主義者である著者が1980年代に書いたものを中心に集めた本。わりに著者の身近な話が多くて、無闇に大きな話をされるよりはずっと好感。また保守と言っても、ニヒリズムに対して中庸としての「絶対」を伝統に求めた結果としてそういう主張となっているのであって、まあそんなにヒいちゃうようなアレではない。だいぶ古い内容だけど、それを踏まえたうえでは今でもしっかり読める。むしろニヒリズムという病理は深刻なものとなっているのであって。
中身では『世代間の関係、それが時代である』という題で書かれたものが、最近俺が考えてることのヒントになりそうで面白かった。解決というか、ああ、この孤独感ってのは年齢でどうにかなるもんなんだ、という教え。

ニヒリズムを超えて (ハルキ文庫)