YITP 市民講演会 『ブラックホール −アインシュタイン理論と宇宙の姿−』

  • Kerr教授 普通に一般相対論までの道のりを説明してから、自身の最大の結果である、カー・ブラックホール、回転するブラックホールの解の導出について、当時のエピソードを交えながら1時間ほど平易な英語で。場数ゆえの温厚さを感じられる話し方で、これが貫禄というものなんだなと思う。導出過程での思考のトレースというか、仮定をつけて簡略化する時のモチベーションの部分を説明してくれたのがなかなか参考になった。しかし如何せん40年ほど前の話なので、今その分野で何が起こってるのか、とかは聞けずじまい。質問時間は特に何もなし。質問という名で自己主張したいだけの老害どもはどうにかならんもんか。毎度市民講演会では似たようなのが湧いている。
  • 嶺重教授 観測の方。情報を吸うのがブラックホールなのに、それをどうやって観測するのかな、という話。X線で観る方法と、周囲の星の運動で重力の影響を観る方法と、噴出すジェットで観る方法と、かな。それぞれどんな風に見えてどう解釈すればいいのかを、目に見える形で定性的に。実はブラックホールは情報を吸うだけの立場じゃなくて、宇宙の構造形成に大きく影響を与えたのかもしれない、など。最近の話とかまだわかってない話も当たり前のように多く出ていて、学生としてはなかなかよい刺激になったかな。あと、この話とか聞ければと思ってたけどすっかり忘れていた。質問時間で例えばこういうなんかトンデモくさいような話とか振って、研究者的には実際どうなんこういうの? みたいなことを聞くのはありなんだろうか。