石渡嶺司 『最高学府はバカだらけ』

最高学府ってのは大学全体を指す言葉らしい。書店でタイトル見たとき東大の批判本なのかと思ったが、全然違うらしいので買ってみた。日本の大学の話で、1.最近はバカな学生が増えている 2.大学という組織はなんとなく世間ズレというかアホっぽい 3.それでもそのバカ学生は何かをきっかけに(書中では化学反応と呼んでいる)バカを脱出する という3テーマが書かれている。特に力が入ってるのは2のテーマで、「バカ学生」を育成する環境としての大学を、日本全国津々浦々の大学の具体例で提示していく本。3のテーマも結果として2の話になってるので、著者も2がやりたくてこの本を書いたんだと思う。

まあ日本各地に色んな大学があったもんだなあと思うなあ、という以上の感想を持てないというのは大学生としてとても幸せなんだろうな。幸いにも周囲の人は学習意欲の高い人だし、学校として「学部教育を軽視」なんて書かれてるけどそれがいい意味で心地よいし、そもそも自分の学部だと学ぶ動機が、知的好奇心が高じた結果だからなあ。あと、超難関大だからトップランナー、とか、だから業界に対する問題提起をしなくちゃいけない、というのはよくわからない。

日本国内の大学に対する調査力は素晴らしい本だと思うが、それらの調査を統合して論を進めていく過程がちょっと著者の作為が入りすぎ、というか、調査の結果をまとめた論というより持論の検証のために調査をした、というような感じを受ける。そのこともあるのか大学側の視点からの問題解決動機がまるで示されてないような。それは税金もらってるから当然、社会的責任という考え方なんだけど。いずれにせよ調査実態は事実なので大学側も変わらないといけないんでしょうね。情報公開と広報活動、らしいけど。まあ、たしかに。

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)