藤井良広 『金融NPO』

マイクロクレジット、とかいうのかな。非営利な金融として低金利で、融資先を、事業目的を社会還元の観点から評価したり、というシステムをとっていて、融資者としても自分のお金がどのような人に渡ったのかを知ることが出来る、借りる側も非営利分野での事業などで銀行から借りれない場合でも融資を受けることが出来ることがあったり、というのが金融NPO。有名なものとしてはグラミン銀行とか。その辺りの活動を国内外問わずに入念に調査、ルポルタージュしたのがこの本。基本的には個々のNPOの実態の説明に終始するけれども、書全体に潜んでいるライブ感というかリアルというか、著者が現実に自分が関わる問題として語りかけてくるような熱意が伝わってくる良書。この分野、なにより一般層への告知、浸透が必要とされてると思うので、この本のような良書が出たということがそれ自体収穫なのではないか。

全然知らなかったんだけど、日本でもこういうことをやってる人ってのが結構な数いるんだなあ、ってのが素直な感想。個人レベルの意志、需要がやっぱりあるんだなあというか。システムさえあれば参加したいという人は潜在的にも結構いそう。日本はよく個人の寄付という文化が根付いてないなんていうけど、個人としての意志はあるんじゃないか、根付いてないならシステムだけでも外から借りてくればいいわけだしね。あとは、機動性を生かすために小規模化してる個々の組織を、包括的に援護できるような法整備と一般周知とが待たれますね。んー、こんな無責任な意見ではこの本を読んだ意味があんまないといわれれば確かにそうだけども。

金融NPO―新しいお金の流れをつくる (岩波新書)