中西輝政 『日本人としてこれだけは知っておきたいこと』

人環の教授、らしい。授業に出るには高校の世界史の知識が必須らしいので断念してるが。教師にも恵まれてたのになんで俺は高校世界史途中でやめちゃったんだろうなあ。最近特に後悔することが多い。

保守派の立場から、戦前戦後直後の話を中心に日本の文明、日本人にとっての天皇、戦争の歴史背景、戦後教育のGHQの意図なんかが読みやすい文体で書かれている。特に戦後教育の話なんかは、今当たり前のものとして植えつけられている概念が(占領国から見て)どのような意味を持つのかなんかが書かれていて、新たな視点の提示としては興味深く考えさせられるものがあった。その意味ではこの本のタイトルは正しい。

ただ、文章中にがしがし一次ソースを明示しながら論を展開するわけではなく、とにかく一般への啓蒙書として書かれているため、この本を論拠に議論していくのはちょっと無理があると思う。そんな感じで証拠を出さずに話が進む序盤なんかは共産主義陰謀論のように見えるかもしれないけど、それはある意味仕方なくて、それこそこの文章の中にもあるとおり、ぼちぼち(著者曰く60年が文明史の一区切りだそうな)戦争時の各国の機密文書だったものが公開されていくに従ってあの戦争が何だったのか、が歴史として位置づけられる対象になるんだと思うね。

日本人としてこれだけは知っておきたいこと (PHP新書)