手嶋龍一 『外交敗戦 130億ドルは砂に消えた』

湾岸戦争に於ける日本の支援策の愚策っぷりを書いたノンフィクション。相変わらずただの元NHKワシントン支局長ってだけでは出来そうにない取材ネットワークで、色々な観点からみた湾岸戦争を1つにまとめている。読むのに体力は必要だけど、かなり面白い。

この本の中で描かれている日本国内でのしがらみは、大蔵省と外務省との間のものと、あと国内世論を考慮してもう一歩が踏み出せない、っていうのもあるんだけど、その世論、国民感情というものを持つ国民というのは一体どこにあるんだろうな。いや、若輩者ゆえ当時の空気というのは記憶にないんだけどさ。今なんかだと世論ってマスコミを通じたものしか見えてこないけど、当時はどんな感じだったんかしらん。つかマスコミという面から考えると手嶋さんもNHKの人だったんだし、世論形成の責任がなきにしもあらずだと思うんだよな。今やってらっしゃる作家業なんかはそういう意味では面白いと思うけど。
外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)