野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』
うっかりラノベの続き物に手を出してしまった。
そこそこ面白かったので続きも買おうかしらん。
文章の雰囲気に合った細い絵、何の意味もないけど面白いコメディパート、教科書どおりのキャラ。
これで題材の文学がわりと好きなんだからそりゃまあ楽しめますわな。
太宰治の『人間失格』と直後の彼の自殺を下敷きにした話。
狂言自殺に失敗してほんとに死んじゃったという説、とかは知らずに読んだ方が良いと思いますよ。
んで、読み終わった後の感想。
なんだか千愛のモチベーションが弱いというか。
安易に、いわゆるダザイズムなんざやったら中二病っぽくなるのは当然という感じ。
なんつーの、『人間失格』って、読んでて自分だけが共感できる、って思い込みたくなるけど、みんなそうだよ、みたいな。
だから同じ作品の中で何人も人間失格ごっこをやると、ちょっとその本気度が疑わしいというか。
作品自体で「共感」をテーマにしたその上で『人間失格』を引くなら、そうほいほいとダザイズムさせない方が伝わるんじゃないかなあ。よくわからん。
あと。太宰治を引くなら、どっかで「戦闘、開始。」を是非引用して欲しかったけど。これは俺のワガママ。
完全に続刊を意識した伏線とか何の登場意図も感じられないツンデレとか、濫用されるダッシュとリーダとか、
そういう、いわゆるラノベの文法的なルールみたいなのが鼻につくのは、俺がラノベ慣れしてないせいなのかね。
ラノベの楽しみ方を覚えましょう。>俺
- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/04/28
- メディア: 文庫
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