『劇場版501』

 テレクラキャノンボール2013の功労者であるビーバップみのる監督が、有名になりたいというAV女優に、顔射501発のAV記録の映画を作ろうと企画するところから始まるドキュメンタリー。まああっさりその目論見が潰えてからの、映画という形にするための4ヶ月間、必死に面白いものを作ろうとして、面白くなりそうな企画を立てるんだけど動かしてみたらあんまり面白くなくて、っていう、監督、企画する側のぐるんぐるんする苦悩みたいのがザッピングみたいな形で時間軸も行き来するような編集になっている。なんか、すっげえ色々なこと考えて作ったし、それを映画の形にするためにすっげえ色々考えて編集したんだろうな、っていうか、何か出来事を思い出してそれについて考えようとするときって、その考えてる次の瞬間の自分に役立つように考えるために思い出す順番すらごちゃごちゃにして便利なようにするじゃん、それがまんま現れているかのよう。だから、もっかい編集し直したら、今度は一旦既に映画にできた安心感からもうちょっと最初の女優(なんか頑張るっつったわりにあっさり諦めて、なんだこのガキっていう感情が滲む)(そこに監督のエクスキューズは既に入ってるものの)のフォローが入るようになるかも知れないし、あるいは、みたいな。この苦労、面白くなるための仕掛けはあらかじめいっぱい考えて用意してはおくものの、それで本当に面白くなるかは何かに任せる、っていう祈るような気持ちに同情できたら、この映画に感動できる人だと思う。これねえ、最後の場面でゴキブリ出てきちゃったとき、天啓に見えただろうな。この映画は完全版もあるらしいけど、編集版でこそだろうな。もちろんエンタメ作品としてのサービスシーンもふんだんで、絵の強さ単体で思いっきり笑える場面もめっちゃ多いので、そこだけを純粋に楽しみに行くのもあり。