嫌いな人を嫌いな理由をきちんと並べることに、共感する人を集いたいということ以上の意味を持たせられるか、果たして、果たして。

 インドでやるスクールに行く、という話は前にしましたねえ。まあビザを取るのが面倒くさかったと。しかしこれ、実際行ってみると、たいしたことはない。まあ、初日に空港に着いてから日本円(1万円札をぺらんと1枚持っていった)をインドルピーに両替しようとすると、まず空港の荷物引取のところの両替所では「1万円は多いから税関を出てからね」って言われて断られて、出てからある両替所に聞くと「この両替所はもう閉まった」(現地18:00頃である)とか言われて途方に暮れたりはしてるんですけど。結局、ホテルまでの送迎タクシーに「ホテルはともかく両替所に連れてってくれ」つったら怪しげな両替所に連れて行かれた(取り敢えず50米ドル札もあったのだ)けど、レートは普通っつうか想像してたのより良くて、でも大きな札しかくれなくてチップにそれを渡すしかなかったり(言っても日本円で1,000円くらいだけど。そんなん為替レートの誤差だと思えば)はしたけど。それで着いた日にデリー空港近くのホテルに泊まって、次の日の朝にまた国内線乗継に空港に行ったら、その俺を仲間はずれにしていた同僚たちと普通に合流できて、後輩に「君ら、一晩空港に泊まったんだって? いやいや意外とボロボロじゃないね、wifiとか使えた? 有料だったから使ってない? じゃあじゃあ教えてあげるけど、昨日やしきたかじん死んだよ、これ真っ先に教えてあげたくて」なんて話しかけたりしています。そんで国内線で用務地近くまで行ったら、そっからは用務先のホテルが手配したタクシーで2時間くらい走ってホテル着いて、そこはまあインドなりの高級目のホテルで、特に不便はなく、って感じですね。で、そこで2週間、授業を受けていたと。インドの町並はそうですねえ、基本は赤土の荒野で、そこに椰子の木がすごい生えててすごい椰子の実がなっている。荒野の中に、作りかけで飽きたのか崩壊途中なのか、半壊の建物が鉄筋を野ざらしにしている。平日の昼間から、年頃の男が凧揚げを楽しそうにしている。野生の牛が、八百屋さんの売り物をもしゃもしゃしている。あちこちにすごい勢いでゴミが捨ててある。以下繰り返し。大体これで全部。飯はカレーとアイス。朝からカレーで、ご飯とカレーか、ナンとカレーかが選べる。1回朝飯にパンケーキが出てきて、それにカレーをかけた。「そっちを替えるんだ」って思った。さすがに最終日近くには胃が壊れて部屋でカロリーメイト食ってた。うまい。
 用務先でも、ほとんど日本人ばっかと喋ってましたねえ。インド人、見分けつかねえし。susyゲージ理論やってるやついねえし。同僚の後輩たちに、受けてる授業について愚にも付かない質問をぶん投げて遊んでいるという。3DSのお勧めのソフトの話して、『わがままファッション ガールズモード』を出した。これねえ、服屋を出して服を売るゲームなんだけど、みずなちゃんっていう自分の名前のついた美少女が、俺の指示した通りのフェミニンな服を着て、それがちょう似合ってるっていう絵面がちょうエロいっていうのと、あとファッションショップの経営で、基本は客の要望に従ってコーディネートするんだけど、こっそり小物として仕入れた眼鏡を勧めることで、その店のある街中の女の子に赤いメタルフレームの眼鏡をかけさせることが出来てちょうエロいっていうとこがお勧めのゲームなんですね。「そのゲーム、終わりとかあるんですか?」「ん? なんかコンテストみたいのに出て、それで勝ったら一応スタッフロールが流れるんだったかな」って言いながら思いだしたのが、1年くらい前にその時付き合ってた元カノがうちに来てたときに、俺が物理の仕事したくて「まあ取り敢えずその間、これで服売って金貯めといてくんない」って未クリアのそのソフトを貸したら10時間くらいぶっ続けでそれやってて、しかも一休みしたところで話を聞いたところ、なんかさっきスタッフロールを見たらしい、何を勝手に俺のゲームをクリアしてるんだ? と内心かなりイラッとして、結局それ以来1度もそのゲームをやってない、ということを思い出して、急に苦虫を噛み潰したような顔になっています。後輩と楽しくゲームの話をしていたはずなのに。
 日程の真ん中ぐらいに、スクール主宰の観光の日が1日あって、そこで近くの世界遺産の寺とかまわったりしましたねえ。なんかその寺が、コナーラクとか言うんですけど、デカい寺で彫刻も細かいんですけど、よくよくガイドさんの話を聞くと、なんか、エロいことはいいことだよ、みたいなことを(も)言いたい寺らしくて、その彫刻もよく見ると男女のまぐわりだったりするんだ。ガイドさんがニヤニヤして「1 woman, 3 men」とか言いながら4人プレイの彫刻を指さしている。その寺の急な石段を、ボロボロのおばあさんが有難そうに登っていく。暑い。なんだろうなーって思いながらガラケーを点けると(電源切ってた)、数年前に好きだった女の子から「久々に何人かでご飯食べませんか?」的なメールが来てて、「いまインドだから帰国するまで待ってください」みたいな間抜けなメールを返しています。俺の中で、外国に出張して単独行動して徳を積んでると日本の女の子からメールが来るというジンクスがある(ない)。
 まあ、そっからは、もう帰りたくてしょうがないよね。スクールの授業中、1日中帰りの飛行機のチケットを眺めてたら1日が終わったりしています(授業はちゃんと受けています)。いや、2週間くらいだったけど、長かったよ。なんかね、ホテルの横の荒野、ちょうど部屋の前の廊下から見えるんだけど、荒野の真ん中にネットが張ってあって、昼過ぎくらいから毎日、少年たちがバレーボールをやってんだ。これがまあ下手糞でさ、なんかね、初日に見たときには、どっちのチームも1度のトスでそのまま相手に返して、ラリーをやること自体が楽しい、みたいなことをやってて「ルールも知らねえのかよ……」と思ってたんだけど、1週間くらいするとなんかレシーブを覚えて、帰る2日前には時々スパイクとブロックに飛ぶやつが現れて、「うわ、2週間、1日中やってると、人って進化すんだな!」と思った。俺だって同じくらいの時間を物理に費やしてたはずなのに、たいして進化してない。死のう。