MEPHISTO 『天使の羽根を踏まないでっ』

 お朱門ちゃんのやつ。いつも通り無敵超人たちがなんというか、それぞれの信念を胸に仕えたり仕えられたり(今回は主人公が幼馴染みに仕える側だ)想いやり合ったり啖呵切ったりしてるわけだけど、バックグラウンドに敷く神話やら伝奇やらが、今回はお朱門ちゃん完全オリジナル。これまで街単位とか学校単位とかで境界を造って、その中で既存の神話をベースにした話をしてきたけれど、それが今回は世界規模(世界卵を境界と言うなら、まあそれはそう)。しかも、どちらかというとそのオリジナルの方の神話、世界観の方が先行して、そこに今回の物語が加えられたかのような力の入れ方をしていて(最終的には少し、世界観を構成すること自体についてもメタ的に言及する)、なんというかまあ、英国に神話が無いことを嘆いてなんとかいう大作ファンタジー小説を書いたどこぞの言語学者みたいな話だな、と思った。これまでのお朱門ちゃんシナリオを期待してたら、その少し上を行くものを貰える。

天使の羽根を踏まないでっ 初回版

天使の羽根を踏まないでっ 初回版