インターネットがはみ出てくる

 ちょっと前に、大学院の秋入学やら秋卒業やらが話題になったじゃないですか。まあ実際その辺がめんどくさいって話はあって。だから日本と海外の間で研究室を移る場合は、前の職場を期限より半年早く退職して次の職場に移っちゃうとか、先方での着任時期を半年遅らせるとか、色々やるわけ。特に面倒なのは大学院出たての最初の職場が海外の時で。これ、大学院を半年早く出るわけにもいかないし、どうするかっていうと、国内で、研究所とか大学じゃなくて国に直接給料をもらう、なんとかって職に半年だけ就いてから海外に行くんだね。そのなんとか、元の自分の大学院から研究室を移らないといけないってんで、半年間なのに国内で引っ越したりしなきゃいけない。まあそれがシステム的にもすごく無駄なので、理学系の大学院に関しては秋卒業にしてくれると助かる、みたいな論法が成り立つということなんだけど。
 それで、この春から半年、うちの研究室にも一人そういう大学院出たてのポスドクがいらしてました。まあ俺とは研究分野が違いましたけど、優秀な人だったし、半年だけでもいてくれてわりと有難かったですが。その人の研究室の机ってのが、俺と同じ大部屋で、それぞれ壁に向いて座ってる俺と背中合わせ、って配置だったのね。その人がいなくなったと。で、そこの机は空いたわけです。机も空いたけど、研究室の本棚もその人の分が空いたの。そこ、もらおうと思って。あの、なんか知らんけど、4月にこの部屋に移ってきてから俺、研究室に本棚もらえなくて。この半年間、机の引き出しにいっぱいいっぱいに本をしまってたわけ。ある日ドラえもんが出てこようとしても、ワインバーグ3冊セットに頭を打って出てこれないくらいのいっぱいいっぱいさだよ。アストロノーカみたいだな。まあ、25歳になってからドラえもんに来てもらっても、全然遅いけどさ。それよりしずかちゃんが来てくれよ(深刻な嫁不足)(それはよっぽどだな……)(だったらドラミでもいい!)。
 で、もらったそこの本棚に物理の本を入れていっても、全然まだ余るわけ。しょうがないから、家から更に追加して学校に本を持っていくんだね。一応研究室だからあんまりふざけた本は置けないんだけど、科学の一般書とか、昔買って読んだ経済学の教科書とかを放り込んでいくわけ。そしたらなんか、研究室にいるときの安心感が物凄いの。背後を振り返ったら、俺の知ってる俺の本ばっかりがある。右回りに振り返れば『多世界宇宙の探検』、左回りに振り返れば『ライト、ついてますか』。股下から後ろを覗けば、逆さイノジレ。右眼を剥がして頭の後ろに付け直せば、高2で『CLANNAD』をクリアして初めて物理に興味を持った頃に買ったハードカバー版の『ホーキング、未来を語る』。後ろから俺を向いてるのが全部俺の知ってる本ってことに、すごい安心する。それは。なんというか、厄介なライナスがいたもんだな。俺をkindleで殴り殺すアプリを開発しよう。
 そしたら、家の方の本棚が空いて。まあ、この春からは本棚がいっぱい過ぎて、玄関のドア枠の上にも本を積んでるので、正確には「本棚とドア上が空いて」ですけど。「え、でもcmizunaさん、今朝も読み終わったラノベを置くとこがなくて、『冷蔵庫と電子レンジ、紙魚が湧きにくいのはどっちかな?』なんて首を捻っていたじゃないですか」いや、科学の本が多いA5版の棚が空いてるだけで、文庫は今まで通りいっぱいいっぱいだし、同人誌の入るA4/B5もいっぱいいっぱいですけど。なんか献血の前に貼ってあるアレみたいだな。A型:若干の余裕があります。緑色の血:母星に帰って下さい。しかしまあ、エアコンの上に本を置くかどうか迷うとか言って、エロ本を隠す中学生みたいだな。確かに置き場所を探しているのはエロ同人だが、もう誰にも隠す必要はないのに。そんなことを言っていると、ある日病気で倒れて救急車で運ばれた挙句、実家から来た母にエロ本まみれの本棚を見られることになるんですけど。それは3年前にやった。
 びっくりすることに、ここからが本題なんですけど。あの、早く書き終わって、今日の学会発表の練習したいんですけど? すれば。その空いた本棚に、あの、自分のブログを印刷した本を置こうと思って。えー、はてなダイアリーの売りの一つに、はてなダイアリーブック - はてなってのがあってだな。要は、金さえ払えば、ブログを本にしてくれると。自分のブログじゃなくてもいいんだけど、でもほら、俺って自分のこと大好きだから。正確には、自分以外の人が大嫌いだから。まあ、大概ブログのやる気もなくなってきてるし、ちょうどアクセスカウンタも100,000くらいでキリが良かったしね。それで、過去ログが残っている一番昔、ちょうど6年くらい前のから、こないだの『まほよ』の感想くらいまでで全部やってみました。印刷前のpdfで確認すると計1820P、これまたぴったりの4分冊ですよ。
 それが昨日届きました。えー、装丁はわりと安っぽくて、そうだなあ、アメリカのペーパーバッグくらいのぺらぺらの表紙で。更に、それに1冊辺り460Pが綴じられていると、まあ糊付けがかなりやんちゃな出来になっていて。「……これは」って感じです。値段と手間を抜きにして本としての完成度云々を言うなら、自分で目次からレイアウトして同人屋に頼んだ方がいいね。当たり前だけど。厚さとしては

な感じ。高さ比較用に置いた俺のねこすけ(俺が2歳くらいの頃からいる)が大体、全長が2メートルくらいなので、4冊で厚さ1.5メートルってとこですかね。ねこ、ながいなー……。
 そうそう、これまでにブログにもらったコメントとかも載ってるんですよ。有難いことですね、褒められたり愛されたりした過去の記憶が残っている! それだけで俺は生きていけるよ(うそ)。まあ、はてなスターは付いてないけど、これは俺が申し込んだ時にまだ心が不安定で、犬にマーキングされる電信柱の気持ちになってスターボタンを消してたせいかもしれん。安定してるときは「はてなスターは好意以外を伝えることのない素敵システムだ!」って思うんだけどね。
 ……なんか、ここまで今日、俺、「自分大好き!」ってことしか書いてない気がするけど、大丈夫なの? ……まあ、あと9時間後の学会発表でさんざ死にたくなるはずだから、今くらいいいんじゃないの。えー、僕の完全なブログを完全に本にしたんだから、今から昔のエントリにコメント付けたりして印刷を台無しにするの、絶対にやめて下さいよ!