佐藤さとる 『コロボックル物語1 だれも知らない小さな国』

 コロボックル、元は北海道のアイヌの伝承にあるんだけど、まあそう呼ばれる小さい人型の生き物を、戦後すぐくらいの現代日本で見つけた少年のお話。個人的にはこのシリーズは母親の愛読書で、俺も読んだのは15年ぶりくらい。書かれたのも50年くらい前なのに全然古びてなくて普通に読める。なんつうか、ファンタジーなのに全然冒険譚とかじゃなくて、「これまでのひっそりとしたコロボックルたちの生活を人間の手から守る」なんて地味な目的のために、こっそり夜中に偉い人の耳元に囁いて悪夢を見せて道路工事の再考を促す、なんて地味なことをやらせたりする。副題にもあるそのこっそり感、コロボックルたちと通じてるのは自分だけだという密かな気持ちが物語好きにはたまらない。

コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 (講談社文庫)

コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 (講談社文庫)