イタリア11日目

 水曜日。まあ朝5時出発だから、朝食もないよ。チェックアウトも済ませたら、コンシェルジェがコーヒーを淹れてくれたよ。まあ、哀れに見えたんじゃねえの。夜中に腹を空かせてフラフラしてるのに結局食べ物は無かったし、有料の映画が観たいから観方を教えてくれって言ってたのに、チェックアウト時の会計をしてみたらその料金が入ってないってことは観れなかったってことだし。タクシーが来るまでの間、ロビーのケーブルテレビのチャンネル合わせまでしてくれてさ。「NHKを点けてやるぜ」みたいな感じだよ。そしたらさ、国際版のNHKで、アフリカ人の三味線プレイヤーのインタビューとかやっててさ。それをイタリアで観ている俺はなんだ。爆笑するしかねえだろ。
 で、タクシーが来ました。あの、結構普通のおじいさんって感じなんだけど、あの、イタリア人のおじいさんて妙にかっこいい人が多いんだよな。ロビーで座ってる俺を見て、コンシェルジェに渋い声で「あのシニョーレか」みたいこと言ってな。「付いてこい」って車まで連れてかれて「荷物は任せろ」っつって乗せて貰って。運転中は無言のまま、ただでさえ運転が荒いことで知られるイタリアの、陽も昇らない早朝の高速道路をアウトインアウトで走り、空港に着いてから俺に「領収書は要るのか」「え?」「領収書、書くのか」「のーせんきゅー」。で、メーター見たら32ユーロとかで。なんかイタリアのタクシーを呼ぶ時は、町中の待機所からメーターを起こして来るって言うから高いぜ、とか、荷物を載せる時はメーターに更に何ユーロか足すって聞いてたから、とりあえず35ユーロ出してみて「きーぷざちぇんじ」って言おうと思ったら「30ユーロでいい」っつって5ユーロ札を突き返されて。「え」ってなったら「電話の名指しの予約だったり色々あんだよ」的なことを早口で独り言みたいにして言って。で、荷物を下ろして貰ってだな。そんなの「さんきゅーふぉーそーあーりーいんざもーにん」ってしどろもどろに言うしかないだろ。
 んで、空港か。まあ売店で食い物を買ったよ。キットカット。超大袋。またチョコレートなの……? 日本のやつより甘さが控えめだった。まあそれで、飛行機に乗る時に思ったんだけど、なんか俺に見える範囲では、イタリア人の顔のパターンが少ない。見慣れてないせいだと思うんだけど、全員が美男美女に見える代わりに(特に幼女とショタの威力は半端ない。まじやばい)、全員同じ顔に見える。具体的に言うと、さっきのタクシードライバーが、俺の2つ前の席に座ってるように見える。昨日テレビの中で脱ぎかけていた金髪美人が、子供を連れて飛行機に乗り込もうとしているように見える。
 1本目の飛行機がかなり揺れて「わー」って思いましたが、その後はわりと特に無しですね。最後の国際線で、日本行きの飛行機のロビーに行ったら、まあオバサン方がいっぱいいらして、まあ言葉が分かるから気になるだけなのかも知れないけど、オバサン方が係のお姉さんに向かって言ってることが、どうにもこうにも自分側の事情を声高に説明しているだけで「手前は手前の問題を手前で解決する気があるのかね?」って感じの、すげえガキっぽい人ばっかりでしたねー。なんとも。ちなみに飛行機の中の映画は面白く無さそうでした。見てないからわかんないけど、『トロン』とかあの小さな画面で3D眼鏡無しに観ることは、法律で許されているものなのかね。知らないけど。
 そんな感じ。今回の旅で変わったことですか、京都駅から自分の家まで戻って来るバスが、桜見に来た観光客で溢れてたけど、「イタリアに居る時よりマシ」っつってスーツケース抱えて強引に席に座れたりしたのは、まあ成長じゃないですか。
 ちなみに、撮った写真は http://cmizuna.tumblr.com/ に揚がってます。まあ観たい人は勝手に。いやいやいや、つかこのブログ自体、誰も見てないだろ……。