浅田彰 『逃走論』

 80年代に流行った本。ベストセラーだってさ。こんなに中身難しいのに。本人の意向で、硬い文体から粗野な文体、対談や書評、それにパラノとスキゾを対比させた有名な表題著作。中盤以降のマルクス論だとかドゥルーズ=ガタリ論とかは元ネタの方を知らないので、まあよくわかんなかったけど、この本の中で起こした問題とその解析に関してはわかる部分もある、気がする。経済学じゃなくて思想として見るマルクスの読み方みたいののイメージが少し掴めたのも。表題作の、パラノ(真面目に働く人)に対するスキゾ(こだわらないで色んなことする人)の優越性を語るやつとかは、その優越性を示すかのようにびっくりするくらい軽くて粗雑な言葉を使ってたりして、まあそれも一つの手段なんだろうけど、なんかその自分の著作に引っ張られてる感とか、思想としてのファッション感みたいのが少しある気がする。他の文章より劣化速度が速かっただけかもしれん。

逃走論―スキゾ・キッズの冒険 (ちくま文庫)

逃走論―スキゾ・キッズの冒険 (ちくま文庫)