夏目漱石 『吾輩は猫である』

 大概有名な、漱石の処女作。長編。まあ、長編ってほどなんか筋があったりするわけでもないどころか、最初はうちに寄りついた野良猫の生活を猫視点で猫いて「猫かわいい」ってだけって感じなんだけど、第2,3回くらいからその猫かわいいを釣りにして社会批評を読ませる、みたいなシフトがあるような気がする。いずれにせよユーモア精神みたいなのがずっと貫かれていること、更に社会批評を加える学者や詩人らをメタ化して猫の視点から笑う、みたいなことをやってるので、そんなに説教臭さみたいのは感じず、純粋に面白いものとして面白い。"眼"の良さは感じるけど、文学的価値はよくわからない。

吾輩は猫である (新潮文庫)

吾輩は猫である (新潮文庫)