100328-31

 毎年4月はびっくりするくらい調子が悪いんですよ、俺。もう自覚するようになってからは尚更駄目ですな。
 たぶん最初は花粉症が原因だったと思うんです。あの、俺が生まれ育った北海道って、杉はないんですけど、その代わり、まあ代わりってわけでもないんでしょうけど、白樺って樹がありましてな。正式名称はシラカンバだったか、この樹がそちこちに植えられている。樹皮が白くてまあ雪景色には綺麗なんですけど、これが4月から5月くらいまで花粉をまき散らすわけですよ。特に俺の実家がその白樺の樹が沢山あるところの近くだったせいで、もうその時期は顔面が涙と鼻水でコーティングされてる状態とかになって、もう大変なのです。特に俺の涙は濃紫色で鼻水はぷりんぷりんのピンク色なので、傍から見てる側からしてもたまらんわけですよ。もう俺がKOTOKOなら白樺を題材に3曲は歌詞が書けちゃうねってくらいの怨嗟です。だから、この季節はと言えば、その"しらかんばキッス〜爆発だも〜ん〜"と、あとは毎年4月のクラス替えやら何やら、どうせ馴染めないのが分かってる新生活のストレスのアレで、もうほんとに死にたくなるくらい体調が悪いんですよ。そうやって自覚しちゃってからは一層のことで、京都に引っ越して白樺とか無くなってからも、大体風邪を引いたり、なんかのアレルギーが出たり、新環境での立ち回りを失敗して家から出たくなくなったり、ウンコを漏らしたりする。「最後の2つは多分体調とか関係ないよね」花粉のせいにでもしなきゃやってらんないでしょ……。
 そしてさあ今年、2010年もこの季節がやって参りました。一昨日だったかな、ちょっと近所を4本足でシャカシャカ徘徊してから(美味しいものが落ちてないか探す時に便利です、4足歩行)家に帰ってきてちょっと昼寝してたら、起きた時にはなんか、首まわり、丁度髪の毛先が当たる辺りが赤く腫れてまして。その時は「あ、俺、また誰かに呪われて首を絞められてる」としか思わなかったんですけど、それが一夜明けて昨日、なんとなくその首回りの腫れに、なんてーの、つーよー?感、痛がゆい感じが出てきて、あと赤みが少々顔にまで広がってきている。明らかになんかアレルギー感みたいなのが出てきてるわけですよ。とりあえず家の中を掃除したり、部屋の湿度を上げるのに祖母から貰った数珠を握りしめて雨乞いしたりしてみてるうちになんとなく気にならなくなってきたので、その日はそのまま、相変わらず「コンビニに払い込みに行っただけのはずなのに、気が付いたら吉田山の山頂で首をかしげながらパン食ってる」みたいな、自分の気まぐれに引っ張り回される自分に辟易しながらも、まあ元気に生きていたわけです。
 それが今日起きたら、その痛痒感がえらいことになってるわけ。顔面も赤ら顔でなんだかほんのり熱を帯びている。まあ露出してる部分の肌だけだから乾燥なんだと思いますけど、シャワー浴びた後の何時間かは少しかマシになる。それで昼ぐらい、朝から数えて3度目のシャワリング中、「……血の匂い……たぶん俺いま鼻血出る……略してhnddr……」なんて鼻血をだらだら垂らしながらぼーっとしてたら、急に、大学生協プリペイドカードの期限が今日だということに気が付くわけです。いや、よく思い出したと思うよ、俺も。さて、大学生協プリペイドってのは、まあ昼時の混んでる学食で精算する用に大体突っ込んでおくものなんですけど、えー、一緒に大学でご飯を食べるお友達もいない、独りぼっちに学食はきつい、ということでもう全然俺なんかは学食とか使ってなかったわけです。最近の学食使用歴とか、「3/1のオフ会」「11月くらいに実験メンバーと」「院試1人打ち上げ」「院試直前に一緒に勉強した数人と」「去年のオフ会」で1年分全部辿れるくらいのもんですもの。そんなんだからまあ、自分のプリペイドが残り幾ら入ってるかもわからんのですけど、とりあえずそれを使い切りに行かなくちゃいけない。で、生協って確か、普通のものを買う時にもこのプリペイド使えたはずだと思って。なんか買いに行こうと。
 しっかし体調はアホみたいに悪いわけ。肌の荒れはアレだし、顔面が火照ってるからなんか熱っぽいし、あとなんか知らんけどさっきから左手の人さし指から血がたらたら流れてる。自転車の鍵が見つからない。もう何もかもが嫌なんですけど、まあでも出かけようと。そういやさっき、一旦色々ちゃんとしようと思って炬燵の布団とか全部洗濯始めちゃったので、家の中が寒くてしょうがないし。学部の図書館でも行こうかと思って荷物を整え学校に行くわけです。
 とりあえず生協で、人さし指から出てる血をハンカチで押さえながらパン買うのにプリペイド使ってみたら、それでもまだ数百円余ってたので、まあふらふら大学の本屋でも行ってみようかと。まあ途中に用もなく古本屋に入って、人さし指の血でハンカチを汚しながら文庫を買ったり、大学の本屋で伊藤計劃買ってみたり、学部に戻って改めて図書館に行ってみたら休館日だったり、しょうがないからとりあえずトイレに行ったら、鏡の中にいるのは、赤褐色のハンカチを握りしめた、首から上が赤黒くて具合悪そうに死んだ目でこっちを睨む気持ち悪い人ですよね。アカデミック!