竹内外史 『集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために』

 まさか素論志望の4回生がこの時期に初学者用の集合論の本を読んでいるとは思うまい。「はじめて」て。
 えー、日本有数の数理論理学者が書いた、古き良きブルーバックスの名著。論理学の初歩っぽい話から入って、公理的集合論(ZF集合論選択公理(ZFC))を経て、一般連続体仮説やら決定の公理やらの現代集合論とその先への導入までが中身。「言葉だけ聞いたことある……」から「証明の細かいところまではよくわかんないけどどの公理がどういうイメージでどこに利くか知ってる」くらいまでの導入書ですかね。
 「公理的集合論」という言葉もあるくらいなので、集合論っていうのは「数学がどの世界でのお話なのか」を説明する大切な足場なのね。まあその分これ以上ないくらい抽象的な話になってるけど、興味があって読む分には。っていうか、多分だけど、良質なintroductionがそうであるように、細かい話をちゃんと勉強してから読み返すとその俯瞰の見通しの良さに驚かされぬるっていうタイプの本かも。

新装版 集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために (ブルーバックス)

新装版 集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために (ブルーバックス)