今年の目標:ネタ被りを厭わない。何故なら位相の違う世界を生きているから。

 えー、ちょくちょくこのブログにも書いてますが、うちの近くに八神社っていう静かな神社がありましてな。場所は銀閣寺の近く、ほんとに銀閣の門の手前まで行ってからひょいと左脇の小径に入ったところにあります。こう言っちゃ何ですけど特に目立つものはない小さい神社なのですが、なんか創建が1200年前とも言われるような産土神で、まあとにかく静かで結構俺の好きなところなわけですな。で、今日も午前の8時過ぎくらいに初詣に行ってきました。いきなり手水の柄杓の持ち手が凍っていたりと今年も相変わらず素敵な神社っぷりを披露されましてすっかりcmizunaさん上機嫌。勧められた御神酒を諸事情でお断りしたら「では飴はいかがですか」なんてもらった飴を一粒ポケットに詰めて神社を出ましたとさ。
 さて、この銀閣の門の手前を左に逸れる道ってのは他にも用途がありましてな。えっと、こっから大文字山に登れるのですよ。さあ上機嫌cmizunaさん、装備はいつも通りの肩掛けカバンに普通のスニーカー、ステータスは昨日の20時から寝てない徹夜抜け、アイテムはさっきの飴玉1粒と麓の自販機で買った300mlのペットボトル1本。前述した通り手水の柄杓が凍るくらいの寒さ、なんならちょっと前まで雪がちらほら降っていた京都にて、朝8時過ぎ、もちろん大文字山に登るねー。登っちゃうねー。
 まあ大文字山ってわりと前から1度登りたいと思ってたところがあって。楽に登れるから行ってきたらいいとかは前々から大家さんとかに言われてはいたんですけど、最初に自分で登りたいと思ったのは去年の5月頃、初めて理論ゼミで発表したらボカンスカンに言われてあんまりどうしていいかわからなくなって、学校出てそのまま近くのスーパーで板チョコ買って「もう……登ろう……」ってなりましたね。まあその時はちょうど雨が降ってきたのでやめまして。その後も隙あらば、まあ隙って主に心の隙間ですけど、登りたいと思ってたわけですね。だからといって何故今日いきなりノープランで。
 それでその登山口から適当に登っていくと、登り始めはまあ聞きしに勝る登りやすさなわけだ。足下なんか完全に舗装されてるし、周りも水路やらヒノキ林とかマツ林とか結構手が入ってるっぽかったし、あとなんかこの時間、やたら下山してくる若者が多い。「なんじゃいな……?」と思いながら歩いてると、なんか虎のかぶり物かぶった人にすれ違いざまに「あけおめ!」とか声をかけられるのね。「まさかこいつら初日の出組か……?」とも思うんだけど、でもこの山って山頂の展望とかもどっちかっていうと西を向いてるはずなので、初日の出って観れるのかはわからない。まあとにかくそういう人達がいっぱいいてわりと賑やか、とても気楽に登っていけるのね。
 そっから先もまあ、すれ違う人がめっきり少なくなったのと、足下が霜っつか雪で白っぽくなったり、枯れ葉の間にアリドオシ(かしらんけど)の赤い実が落ちてるようになったくらいで、別に何ということもなく登っていけるわけです。多分だけど、札幌の円山より簡単だと思う。ま、こんな比喩使っても「えー! イケメンワンゲル部の横山くん曰く『あれは山じゃない、丘』でお馴染みの円山よりも!」なんつって俺の地元民だけ大喜びでしょうけども。円山出身以外の人間はすっこんでろ! 2度と俺のブログを読むな! でそんなこんなで淡々と登ってるとね、なんか途中で酸素薄くなってんのか知らんけど、すっげえ眠くなってくるわけ。立ち止まるともう意識が飛びそうになるからね。そっから先はもう完全にリズムで登るしかないですよ。右左右左右左。
 まあそうこうしてると、まず大文字山の火床ってとこに着きます。えー、夏の送り火の時に実際に点火する場所ね。まあ京都中からここの火が見えるってことは逆に言えばこっから京都中が見えるってことで、まあ一面に開けた見晴らしのいい場所なんだ。だがしかしそんなことより俺は眠いんだな。とりあえずそこにあった四阿に座って手持ちのペットボトルを空けるわけ。これでもう俺の残り回復アイテムは飴玉1粒ですから、その四阿の中にあるお地蔵さんの方がリッチなわけだよ。お供え物に蜜柑2つ持ってるからね、地蔵。あ、あと地蔵、温度計も持ってた。-3℃だってさ。その上に風とかびゅうびゅう吹いてるからね。体感はもっと低い。で、とりあえずここまで来たことの証明くらいなんか残そうと思って。えっと、twitterの(モバツイの)イマココ機能ってのを使えば、携帯のGPSで位置情報取って書き込めるからそれ試そうと思って。まあ先月に携帯買い換えてGPSが使えるようになって初めて試してみたんだけど、びっくりするね、取ってきたデータによると俺、京大熊野寮の近くにいるらしいんだよ。「いやいやいや山! 風吹きすさぶ山肌に俺一人立ちすくんでるから!」と冴えないツッコミを入れてみても、GPSでそれ以上出来ることは「この近くのお店を探す」で熊野寮近くのお食事店に詳しくなることだけ。さあ気落ちしてはいられない、この携帯にはカメラ機能が付いている。何気なく買い換えたこの機種だけど、それまで俺が使ってたデジカメが1,000万画素なのに対し、携帯の分際で1,220万画素を謳うロックンローラー、「実験でいずれ書くレポート用に写真を撮らなくちゃいけなくて、誰かデジカメを持ってこいって言われてるけど誰も持ってかないから俺が持って行こうかな、でも俺のデジカメより携帯の方が画素数いいし……同じ携帯だったらわざわざ俺がしゃしゃり出るより、今まで通り他の人の携帯使った方が……いいん……だろうな……」で皆様にお馴染みのF-01Bですよ。こいつのカメラ機能を存分に発揮してくれる!

 はいボッケボケー。ピントがまるで合ってませんなー。一応説明すると、左側中段ほどの緑が吉田山、更にその奥側の緑が御所、そのちょっと右側に横に長く伸びてるのが下鴨神社の杜で、それに沿うように賀茂川と高野川が合流して鴨川になってるとこまで目をこらせば見えますかね? 見えたと主張する人がいたならいいことを教えてあげよう。無理だよ。写ってないもん。肉眼では俺の自宅まで確認できているのにねー。まあそんなわけで写真も失敗、俺がここまで登った証拠なんか1個も残らないまま、更に上を目指します。
 別にそっから先も登ること自体の難易度は上がらないわけだ。そしてちょっと開けたところに出るわけ。今度は正面に京都タワーが見えてるからさっきよりも南向き、その向こうの(ここに向こうと向日をかけた駄洒落は要る? 俺は要らないと思うよ)大阪まで見えるんじゃないかってくらいのとこなのね。そして足下には三等三角点がある。ってことはここが頂上なのかしらん? とも思うんだけど、でもその開けたところの向かい側に道が続いてるようにも見える。一応行ってみるとその先はずっと下りになってて、ほほうやはりさっきのが頂上であったか、特に写真も何も取っていないが戻るのは癪で御座る、って結局その下り道を進み始めました。するとわりとすぐに分かれ道と案内板がありましてな。俺は見覚えのある地名であるところの、鹿ヶ谷方面行きの下り道を選択しました。
 そっから先が突然ハードモードね。あの、普通大文字山に登るっつったらあの銀閣の脇から入って火床なり山頂なりで満足して来た道を引き返すというのが普通なんですよ。誰も鹿ヶ谷ルートなんか使わない。するともうそのルートに入った途端いきなりまず雪の積もってる量とかが違うわけ。それに道に乗ってる葉の層の厚みもね。そしたらまあ道だと思って踏んだところがぐにゅりっつって凹んで靴の中に雪が入ってうんざりしたり、あと舗装がさっきの道より全然甘いから、もうなだらかな坂道を「多分ここが足場」なんて判断しながらもう転がるように下りていくね。するとだ、いきなり倒木で道が塞がってるわけ。こんな。

 もうどんだけ人が来ないルートなんだよここ……。あ、でもこの樹、

 って見たらエロくない? いや、別に。これも跨いで越し、どうにかこうにか歩いてると、いつの間にか、山に深く刻まれた1本の筋みたいなところをちょろちょろと水が流れ、あとはその筋に乗って上から転がってきたんだろうなっていう巨石がうようよしてる、その筋に沿って歩くような道になってましてな。風景としては悪くない。その途中に1つ石碑を見つけます。日本史詳しくないのでどんだけ大きな事件だったのかは知りませんが平家の時代に鹿ヶ谷事件っていうのがあったらしく、その所縁のものらしいですけど。
 それが1つの目印みたいにして、それに隣接した案内地図がありまして、俺の読んだところによると、更にその川の近いところを歩く、その川はじきに滝となる、の2つが今後のルートのポイントに見えましてな。あー、もう、この全然上の方から「多分これがルート」っていう程度の舗装しかされてないよ。でこのポイントを実行に移すんだけど、あのね、「道ってこれかな?」って歩くところが、これまでもよっぽど大概だったけど、今まで以上に道じゃなくなってんのね。もう1歩つうか0.8歩踏み外せばその深い川筋に転落するんだ。もしかしてこれは道ではないのでは? とも思うんだけど、でも道じゃないものを道と言い張る技術に関してはさっきの「倒木が完全に道を塞いでる」で頂点を迎えてますから、あとはまあなんでも「これが道」って言われたら「そうなんだ」っていうしかないですよね。でももう目の前には「両手を山側に突いて体重を脚側にかけないようにすれば、まあ滑り落ちずに行けるんじゃない?」っていう道しかないんだよ。かといってそんなところで後ろ向いて引き返す方向転換がまず出来ませんから、そのまま川沿いを行きますわな。あったよ、滝。そんなでかくはない、高さ4mくらいかね。でも岩場ゴツゴツさ加減とか半端ないし、もう「落ちたら手でどこを守ろうかしら」しか考えることはないよね。まずはカバンの中のiPodかな。中を見られたら恥ずかしいし。
 さて、左手側にはその滝、右側に山を見て時計回りっぽく下りてるんだけど、そのやや右下方に、なんか規則正しく並んだ石が見える。この辺まで来ると道の進み方がもう「あそこに右足、あそこに右手、あそこに左手、あそこに左足、あそこに右手、あそこに右足をついて進めばあそこで一息つけて様子が見れそう。踏み抜いて地面が崩れなければね」とか思考がツイスターと詰め将棋混ぜたスポーツみたいなことになってんの。そんな前進を2セットほど繰り返して見ると、どうやらその規則正しく並んだ石が石段だということがわかるわけですよ。やった! 人工物だ! 正規ルートだ! っていう喜びと、っつうかやっぱ俺の今いるとこ道じゃないんだ……という妙な落胆ですよねー。結局そこから9手詰めを2セット繰り返してようやくルート復帰ですよ。ちなみにルート復帰後に下から見ると滝は

 ほぼ垂直で、あとところどころ凍ってつららになってるのねー。ま、下から見ると大したことないか。まあでも、ほんと、ひっさびさに目が覚めましたわ。膝ガックガクですよ。その後はもう下りるだけ、「あ、道って安全だ」っつってね。それで下りたら霊鑑寺の横に出て、哲学の道通って銀閣まで戻ってきました。
 まあというわけで、銀閣の脇から登るルートならよっぽど適当に行っても大丈夫、鹿ヶ谷ルートはそうね、"自分の歩いてるところが普通に考えて道かどうか"がわかる人なら別に普通に行けると思います。変な舗装されてないで階段というよりはずっと坂道なので、膝が悪い人はむしろこっちの方がってのも……いやいないかー?