091227

  • Zwiebach 『A First Course in String Theory』
    • ちんたら演習問題なう。なんつうか、展開してから振動子の定義とかを改めて自分の手でやると「あれ? ファクタiを中に入れる入れないの任意性でmassの定義変わっちゃう。大ピンチ打線」などと困惑すること頻りです。ちゃんとやればちゃんと出来る。

 前にも1度書きましたが、こないだPCを買い換えてブルーレイが観れるようになったので、喜び勇んで米amazonで数枚ブルーレイを買ったのですよ。宇宙のやつとかアフリカのとか南極のとかそういう、映像の美しさ大事みたいなやつを中心にね。まあ喜び勇んでと言うか完全に浮き足立ってたわけで、なんならブルーレイ越しに観るんじゃなくて浮き足ついでにそのまま浮いた足で火星まで飛んでって観に行ったらよろしいというくらいの衝動買いだったわけですが。特にその、1枚目に見て前にも感想書いた『JOURNEY TO THE EDGE OF THE UNIVERSE』なんてのは、まあ嘘八百までは言わないまでも、宇宙の基本的には目に見えないブラックホールとかまで全部まとめてイメージでCGにしてるので、とりあえずCGをブルーレイで観てもなあ、というのと、あとはまあ一応物理が専門の人間としてちょっと許せる範囲を超えて不正確、みたいなところがありましてですな。例えば自主ゼミが終わったあとの雑談で、みんなが「傍から見てたらブラックホールっていつまで経ってもブラックホールになる手前ギリギリでじんわりしてるんちゃうかな?」「いや、ブラックホールから見た固有時間では、」とブラックホール自身がその性質上観測に引っかからない(周囲のものを見て、すげえ重いものがそこにありそうと言うのはわかる)ことに由来する活発な議論がなされている中で「あ、俺こないだブルーレイでブラックホール見た! すげえ黒かったっす! すげえ!」とかは言えないわけですよ。だからまあとりあえず1枚目のブルーレイはがっかりブルーレイ、しかも輸入物だから簡単に中古に売っ払ったりとかもできない厄介さんなわけですな。
 まあそんなこんなであんまり次のにも期待してなかったんですけど、一昨日かな、2枚目に用意してあった『MARCH OF THE PENGUINS』ってのを観ました。恒例のアフィリエイトはこれです、じゃん。

 あのね、南極の長い冬に向けて、むちゃくちゃ一杯の皇帝ペンギンがぞろぞろ歩いてきて1箇所に集まって、みんなで寄り添い合って、1冬を過ごし、まあその間に産卵したりする様子を撮った、これは正真正銘のドキュメンタリなんだけど。最初の最初は、なんか気味悪いくらい一杯のペンギンが一列になって行進していくんだけど、そこはまあ妙にユーモラスに始まるんだ。あのね、ペンギンって後ろから見たらあれに似てる、あの、数年前にちょっと話題になった、通販生活で売ってた『歩ける寝袋』ってあったじゃん、あの、『「寝てる最中に熊に襲われても立ち上がって逃げられる」とか言ってるけどそれは、人間よりヒグマの数の方が多い北海道出身でかつ毎日クマさん柄のパンティを履いていることでお馴染みの俺に喧嘩を売っているの? 三毛別羆事件とかご存知?』っていう感じのあれね、なんかペンギンが両腕(羽?)を体の脇に添えてテコテコ歩いてる感じがあれにそっくり、だと思う。しかも皇帝ペンギン、歩くの疲れたら突然前方にヘッドスライディングをかまして「おなかよく滑る」って感じに前進してくんだ。無闇なヘッスラとか何本慎也だ。まあそんなわけで、この辺までは「くすくす。ペンギン可愛いなー」っていうのどかな感じなんだけど、中盤以降の、その、本格的に冬が始まってからが異様。あの、冬が始まる前に交尾(本編ではカットされていて確認できませんが、僕の予想では主に後ろ櫓だと思います。)と産卵して、で冬が始まる頃にはメスは海の方に食料を取りに行って、それが戻ってくるまでの何ヶ月間かをオスは卵を両足の間みたいなところで抱いたまま一番冬のきっついところを過ごすわけ。-60℃とか言ってんだよ。途中で孵化とかすんだけど、でもそっからメスが戻ってくるまでにもまた何ヶ月かかかるわけで、ただでさえ食うものないところでオス親はなんか自分のゲロみたいなやつを雛に食わせて食いつなぐわけだ。なんかね、何百羽ものペンギンが一箇所に集まってじっと頭を伏せて冬が過ぎるのを待つ絵ってのが、もう異様さが半端ないっつうか、当たり前だけど人間とは完全に違うシステムで生きてるなって感じで、なんだろうね、陳腐な言い方をすると、生きてるって何だ、そこまでして生きなくちゃいけないってのは誰の意志だよ、っていうのがなかなか来ますねー。まあそれで結果生まれてくる雛ってのが、久米田康治が描くあれにちゃんとそっくりってのはちょっと面白いですけど。うーん。