竹宮ゆゆこ 『とらドラ・スピンオフ〈2!〉』

短篇集。短いからか、随分はっきり言っちゃうんだな、というの感じ。作者特有の、全力で痛いところをついてくる、という感じは相変わらずなんだけど。春田と女子大生の『春になったら群馬に行こう!』は本編自体の救済の意味にもとれて、本編の展開があんなになってる今読むと、あーという感じ。学校という閉鎖環境の中での恋愛模様、という本編(それ以外を書きようがないからこそのばかちーの悲哀)の枠をアホさで突破しちゃうのも、ねえ。終盤なんか特に、コピペの信号渡る犬みたいな口調になってるし。それは女子大生の方が猫に例えられることと対比があるの? あとは独身(30)の独身(22)時代を書いた書き下ろし『先生のお気に入り』かな、ひ弱なひきこもり美少年、腕っ節以外は大河そっくり、あからさまに本編でも"逢坂くん(仮)"と称される学生との話。というか、変な強さがあるぶんだけ、本編で9冊以上もかけて傷ついていかないといけない大河なんだよなー。他の短編も日常の大河が普通に可愛いです。

とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)

とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)