阿部等 『満員電車がなくなる日』

硬直したシステムにより慢性化した不便さをフレキシブルなシステムを導入することで解消しよう、という内容の本は各分野でわりに様々出てると思うけど、それの満員電車ver.。運賃のシステムから2階建て電車とかの電車の構造設計まで各種アイディアの提案は多岐に渡るんだけど、たぶん問題提起や周知を目的にした本なので、1つ1つのアイディアについてのプレゼンはあってもどうにも一方的な主張に終始してて、本気でそのアイディアを通そうとするとどういう問題があるのかという取材が欠けているような気がする。なんつうのかな、筆者が何と戦っているのかがわからん。世間の周知さえ得られればこのアイディアは万々歳満場一致で通るの? みたいな。それで中身が2階建て電車とかブレーキの電磁気化とかなので、どうにも荒唐無稽に見えて仕方がないし、しかも別視点がないから、どれだけそれが荒唐無稽なのかも1世間の人間からは結局わからんという。素晴らしいアイディアなのはわかったよ、ふうん頑張ってな、という感じ。
満員電車がなくなる日―鉄道イノベーションが日本を救う (角川SSC新書)