ぼくの帳尻のあわせかた。

俺には逃げ癖が付いてるんですよ。最近はそうでもないと自分では思ってたんだけど、よくよく自分というものを思い出してみると、そうでもないとか考える根拠がまるでないよ。こういう時にblogってのは便利だねー、読み返せば読み返すほど、「bloお前が嫌なことから逃げてきた記録を最新から順番に表示してあげるよg」を略してblogだよ、っていうくらいに、俺は嫌なことを避けまくって隙あらばエロゲやらラノベやら小説やら『ゲージ場の量子論』やらを駆け込み寺にしてんなっていうのがモロわかり無修正。で今回遂にcmizunaさんにその駆け込み寺が逆襲の火を噴くわけですよ。その駆け込み寺の大仏のデコに付いてるのが逆襲の炎専用火炎放射器スイッチ(俗称:仏の顔も三度までだぞファイア)だなんて俺も知らなかったからさ、もう今更ながらの反撃にうわうわあちちのてんてんてんてこ舞いですよ(略してUUATTTTM)。何があるかというと、俺が前期に大学でやってた課題演習っていう授業ね、個人個人がわりと勝手に(俺が選んだところは特にフリーダムな気がする)選んでテーマに取り組んで実験とかやる授業なんですけど、その総まとめの発表会があるんですよ。んでそれに間に合うようにみんな夏休みの間にも大学に来て実験をして、楽しい発表会にしようね! と。そういうご達しがあったんだけど、俺ってば全然休み中も実験してなくて、発表会3日前にして全然データが足りてなかったの。
「あれ? cmizunaさんって課題演習の粉粒体の実験ってわりと楽しんでなかった? なんで夏休み中とか実験いかなかったの?」ってところが今回の出来事の一番の泣き所ですよシルクのハンケチの用意は良いですか? いきますよ、理由:実験室の鍵の借り方がわからないから。その実験室の鍵ってのがね、その課題演習を担当してる研究室で管理してて、俺が実験しようと思うたならその研究室にお邪魔してちょいと拝借いたさないといけないわけ。意味がわからないじゃん。全然知ってる人がいない研究室にボクみたいな汗かきブサイクが入っていった時点で警察を呼ばれても文句は言えないよ、うちの大学は基本的に警察入れないけど。そっから更に勝手に鍵を持って行けと。夏休み前にそういわれた時から俺はずっと悩んだよ。もううちのATOKなんか「か」って打ち込んだ時点で予測変換に「鍵の借り方」が出てくるからね。そのぐらい俺は悩んだよ。で結果2週間くらい逃げた。貴重な夏休みを実験から逃げ暮らした。さすが俺。でちょっと反省して(というか実験自体は好きだし)、他の雑多な質問に混ぜてTAに「ほんとに鍵って勝手に持ってっていいんすか」とメールをするという「チキンが勇気を振り絞ってした質問がチキン気質」という面白い自虐ネタをかましたら、なんかあっさり正しい鍵の借り方を教えてくれたんで、「ああそうだよいつもそう、実際にやってみたら大したことない」と妙な方向に凹みながら何回か実験に行くようにしました。でそれが筑波行ったり帰省したりで1ヶ月くらい中断して、こないだ京都に戻ってきて早速続きをやろう、と。そんで鍵を借りに研究室にお邪魔したら、なんか前にあった場所に鍵を入れておく金庫が見あたらないの。あのね、誰が場所を変えたのか知らんけど、cmizunaさんに「近くの人に鍵のありかを訊く」ということを要求しているのであればいいことを教えてあげようか、そんなことしようとしたら俺は吐くよ。んでその出てきた血ゲロで「かぎかして」ってダイイングメッセージすることで鍵を借りようとするよ。その方が多分楽だから。まあだけど知らない人だらけの研究室で血ゲロ吐くのってちょっと駄目じゃん。だから俺はまた逃げました。実験やらずに家に引きこもり、だったらまだいいですよ、毎日昼頃に大学に行って「誰かが先に実験しに来て実験室開けててくんないかな」って一度実験室の鍵がかかってるかを確認する、という陰険っぷり。もう自分の嫌なことだけから逃げようとする最悪の人ですよ。そんな、人か糞虫かで言うとわりに糞虫サイドに近いことでお馴染みの俺に「勝手に鍵が開いてる」なんて僥倖は一度も降りかかることなく、結局そのまま発表会3日前ですわ。
なんか知らんけど、もう誰が見ても「さあ逃げて下さい」っていうお膳立てが整ってるわけ。まともに実験のデータが揃ってないのもそうだし、もう既に課題演習自体の成績は出てて優もらってるし、前にやった中間発表の時に教授にボコボコに言われたのも軽くトラウマだし、そのわりにその後すぐに読んどけって言われた論文も読んじゃいないし、挙げ句の果てにはその発表会の3日前にTAから「出欠をメールして下さい」って言うメールが来てるから、これに「方塞がりでその日は大学には行けません。欠席」とか「googleストリートビューでエア登校したら遭難しました。欠席」とか書いて出せばそれっきりですもの。でもねえ、俺はだんだんなんかこの情況が楽しくなってきてんのね。この足りないデータ群でどうにか誤魔化しきる、というのがなんかすっげえ楽しいことのような気がしてきて。だからまあ出席のメールを出し、月曜の午後の発表会に向けて、土曜の夕方にようやくデータをexcelに打ち込みはじめ、さて何が言えたもんかな、と。さあ、俺の帳尻を始めましょうか。
まあそもそも手持ちのデータが少ないですから、やれることなんて特にないんですよ。日付変わって1時頃に喋る中身の目処をつけて、4時頃には手書きでパワポの下書きが出来てましたから、もう明けて日曜の朝8時にはすることがないわけ。作ったパワポなんか7分で読み終わるよ、こんなの。でもね、もう手持ちの武器がしょぼければしょぼい程に楽しい、っていう精神状態に入ってますから、それ持って今日の午後、あんだけ忌み嫌った研究室で、しましたよ、発表。尿意をこらえながら。
まーあ、担当のTAは唖然だよね。「この実験は変えられるパラメータがいっぱいあるから実験の内容には困らないよ!」っていう触れ込みだったのに、こんだけ休みあってこいつ2種類くらいしか実験してないんだもん。そして教授からはボッコボコですよ。要は、相変わらずお前のやっていることは物理になっちゃいないなと。表面上は微笑んで実験の労苦をねぎらいながらなんですけど、それは全くの逆効果ですわ。こっちは「少ないデータを類稀な物理的直観と深い洞察力で乗り切る俺カッコイイ!」ってのが今の俺を支える唯一の何かなのに、その真逆ですわな。「履歴が関係してくる物理ってのはねえ、緻密にやろうとしても泥沼ですよ。再現性ないし。だんだんやる気をなくしていくかと思ったけど、よくやったね」あ……。「でもね、わざと履歴を大きく変えて質的に変化を見ないとなかなか物理にはならない。細かくやるのはそのあと」ああ……。「中間発表の時にちゃんと言ってあげれば良かったね」あああ……。「まあそういう勉強にもなったんじゃないかな」ああああ……。精神的には完全に膝が折れたね。ここで尿を漏らさなかったことだけが今日の唯一のcmizunaさん頑張ったで賞。「まあせっかくやったんだから、レポートについてはね、この叩く回数と摩擦力のグラフで回帰曲線を書けばどうにか物理っぽくなるんじゃないかなあ」え? 俺の唯一の結果として言ったのは「叩くことが直接の変化要因じゃない」なのに、叩く回数でやんの? 「回数をたくさん増やすとサチるってことがわかってんなら、そこを目標に上手く寝てくるように1階微分方程式を作ってみてね」ふふん教授、いいことを教えてあげようか。回数を無闇に増やしてもどっかで天井になるのは確かめたって言ったけど、予備実験で確かめただけだからデータなんかないよ。
と、いうわけで。まあ結局データが足りる足りないというレベルじゃなくて、最初からお前は素頓狂な方向に全力Bダッシュしてるよお前、ということでもう3ヶ月前から手遅れ、帳尻も糞もあるかいな(尻と糞は縁語だな)という話でした。今回のパワポは読んだ原稿付きでfotolifeに揚げましたんで、参照する人はどうぞ。さて、2週間後の火曜日が最終レポートの締め切りなんですけど、それまでに理学部で泣きながらメスシリンダーを叩いてる人がいても放っておいてあげてください。今度こそ帳尻を合わせようとしてる俺ですんで。