リルケ 『若き詩人への手紙・若き女性への手紙』

詩人が、詩人志望の若者に送った書簡を集めたのが前半の『若き詩人への手紙』で、生活に辛苦を強いられる女性に送った書簡を集めたのが『若き女性への手紙』。どちらも直接の面識がない相手からの手紙に対して、真摯に共感をもってアドバイスや励ましをおくっている。『若き詩人への手紙』では芸術論、特に自身の「孤独」に対して深く深く向き合っていくことの大切さなんかが語られていて、「孤高」とは違う種類の「孤独」から目を背けることができず、そしてそれを愛しすらしてしまい詩を書かざるを得ない、という「詩人」という職業の何たるやが伝わってくる。『若き女性への手紙』の方はもっと具体的な話が多くて、逼迫した生活レベルでの話が語られているのに、その中でどう生きるのか、何に愛を見いだすべきかという点で、前者よりも人間的な部分に迫っているのかもしれない。雰囲気も友情というか同情、共感に満ちていて暖かい。

若き詩人への手紙・若き女性への手紙 (新潮文庫)