マックス・ヴェーバー 『職業としての政治』

ぐぐぐ。読みにくい本だなあ。100Pくらいの講演録なんだけど、それだけに区切りがなく論理が淡々と展開されていくからたいへん。
中盤くらいの政治史みたいなのはよくわからないし正直知ったこっちゃないんだけど、78P以降の倫理と政治の関係以降はウェーバーさんめちゃめちゃ調子良かったのかとても熱くて良い。倫理には「心情倫理」と「責任倫理」というものがあるのね。前者は正しいことをすれば結果が仮に悪くてもそれは神の意思であると考えるし、後者は結果も自分の責任だとして人間の不完全性とかも計算に入れるべきだと考えるもの。この心情倫理あたりなんかはキリスト教の文脈がないとボクみたいなしょっぱい日本人にはなかなか理解できないところがあるけれど、まあどちらも論として立っているし、政治は冷静な頭脳のみで行われるべきものではないから、心情倫理というのも納得できないものではないか、というところ。んで、

(心情倫理で行動した結果)結果に対するこの責任を痛切に感じ、責任倫理に従って行動する、成熟した人間--老若を問わない--がある地点まで来て、「私としてはこうするよりほかない。私はここに踏み止まる」〔ルッターの言葉〕と言うなら、測り知れない感動をうける。これは人間的に純粋で魂を揺り動かす情景である。なぜなら精神的に死んでいないかぎり、われわれ誰しも、いつかはこういう状態に立ちいたることがありうるからである。

と来たもんだ。熱い。あと最後の1Pにある「政治への天職」を持つ人間の条件もかっこいい。これはもう政治に限らない熱さだ。

職業としての政治 (岩波文庫)