村上春樹 柴田元幸 『翻訳夜話』

作家としての知名度もさることながら翻訳でも知られる村上春樹と、その翻訳のチェックをしたり自分でも翻訳をなさっている柴田元幸の、翻訳についての、聴衆からの質問を交えながらの対談。後半には短編でのそれぞれの訳を比べられるようにもなっている。翻訳の技術的な話ではなく、何故翻訳をするのかといったような、彼らにとっての翻訳を浮き彫りにするような話が主。

これは面白かった。彼らなりの翻訳に対するスタンス、どう翻訳すべきかではなくどう翻訳したいか、というのが本人の言葉で書かれていて、ああ翻訳って楽しそうだなあと思わせる。まあこの辺りは翻訳家として成功してる2人だからこそ言えることなんだとも思うけど。

英語を学んでる人はもちろん、二人のファンにもかなりおすすめだし、和訳された外国文学読みにもおすすめ。翻訳の賞味期限の話とかはかなり頷ける話になっております。

翻訳夜話 (文春新書)