石垣島1日目 ここが夏の真ん中さ!

 石垣島、最初に行こうと思ったのはいつですかねえ。俺の好きな千葉ロッテがこの時期にキャンプするようになったのは8年前でだいぶ定着してきてて。そうか、数年前に沖縄に行ったときに、最後に空港で買ったお土産がうっかり石垣島ロイズで、これは行けってことか……? って思ったのがたぶん最初だ。本格的に行こうと思ったのは1/15に急に思いついてロッテのキャンプを見に行こうと思ったときで、このときには、俺の国内旅行好きの理由であるアイモバは終わるのは決まっていた気がする。というか正確には終わるのは決まっていて、それで「……積み残しは一生かけて、水本さんと巡っていけばいいじゃん」というのを決めた後だったような気がする。まあとにかく、キャンプを見に行こうと決めて、大学生協の書店でガイドブック2冊買って、大体やってみたいことを詰めて何日かかるかを計算して、飛行機とって宿とって、っていうのがまあ半日あればできちゃうのね。それが大体、実際に出発する1ヶ月前ですか。まあ楽しみにしてるんだかしてないんだか、みたいな感じで1ヶ月を待ちます。
 出発前々日くらいかな、睡眠時間の調整に失敗してることに気がついて。なんかね、初日は朝10時くらいに関空から飛ぶから、朝6時くらいに家を出ようと思ってたんだよね。全然だよ、数日前から風邪は引いてて、もう前の日は夜10時くらいまで学校にいて、そっから家に帰って映画一本観て、ぼんやり本を読んで、結局寝ないで朝6時に、その読みさしの本(残り50Pくらい)をポケットに入れて家を出ました。その本は行きの京阪で京都を出ないくらいでもう読み終わっちゃって、ずっと旅行カバンに封印されていたね。
 この季節の石垣島、だいたいジャケットを羽織るくらいでちょうどいい、って言われてたんだけど。なんか数ヶ月前に北海道に行ったときに、実家でジャケットとコートを交換するみたいにして帰って来ちゃってて、家にジャケットっぽいものがないんだよね。で、モッズコート、去年一年くらい着てなかったやつ(ムーンライト、スターリースカイ、ファイアーバード、カーキ色のモッズコート)、これがフードを外せるやつだったから外すと、やや裾の長めのジャケットに見えるかなーくらいの感じで、それを着ていったんだ。で、石垣島に着くよね。たいよう。ひざし。てつやあけ。あのねえ、27度。ジャケットどころかその下のパーカーも要らない、もう半袖Tシャツで全然問題ないのね。ここが夏の真ん中か……!
 空港のバスで宿の近くまで行って、取り敢えず荷物を預けたいんだけど、まあ今回泊まるの民宿で、そして民宿の受付は誰もいない。チェックイン15時で、この時点で14時だからしょうがねえんだけど。でもこっから俺、球場に行きたいんだよね。この日と次の日、なんか台湾のチームが来て練習試合があってさ。それ、途中からでもいいから観たいんだけどさあ……。しょうがねえから、その数泊分の荷物を入れたキャリーバッグを引き摺って球場に行こうと思うわけ。歩いて30分くらいらしいんだけどさあ。荷物は重い。そして予想外の暑さね。徹夜明け特有の変な汗が出ている。そして知らない道、キャリーバッグを引いていくの、すげえめんどくさいな……。それで地図を見ながら歩き出すんだけど、なんかね、登り坂なんだ。どのくらい登ったらいいのかも分かんないし、最悪、練習試合って一応チケット売ってるものなんだけどそれが売り切れてるって可能性もあるわけじゃん。あんまテンションの上がらないまま登り始めるんだ。すると、コンビニがあって。ココストアって言うんだけど。コンビニ、あるんだって思って。なんか、離島だから、そういうのあるかどうかよく分かんなくて、一応事前に地図上で調べてマックスバリュがあることは知ってたから、究極的に飯を食い逃したら(石垣島、わりと予約必須な焼肉屋とか、あとノリがキツそうな島唄居酒屋みたいの、あと昼から材料がなくなるまでしかやらない八重山そば屋しかないから、わりと深刻)そこに駆け込もうとは思ってたんだけど、それには及ばず、意外と色んなところにコンビニがあるんだね。その登り坂の途中にあるココストアでアイス買って食ってる。ここが、夏の、真ん中か……!
 なんとなく球場っぽいものが見えてきて近寄ってみたら、そこそこ人が入っている。買ったチケットの通し番号が2000番くらいだった。球場自体は8000くらい入るみたいだけどね。取り敢えずチケットを買って外野の芝生席に腰を下ろしたのがだいたい5回くらいだったかな。わりと見始めたところでロッテが先制点をとる(ホームベース上のクロスプレーで、あんまブロック厳しくなくて、これが今年のルールなのか、というか台湾もルール同じなのか? とか思った)くらいの感じ。サイドスローの黒沢が良さそうだった。勝ってたね。台湾からの応援団もそこそこ来てて楽しそうだった。
 終わったのが16時くらいかな。練習試合だからもうちょっとテンポいいかと思ったけど、投手戦の割に3時間みっちりやってた。何はともあれ、だからこの石垣島、飯をちゃんと確保したいってのがあるわけ。普通の飯でいいんだ、旅行先で食う、まあぼちぼちの飯ね。そんで、帰るべき道とはちょっと違った方向にまた30分くらい歩くと、わりと有名な八重山そばの店があるってんでこれが20時までやってるはずだからってんで行ってみたら、まあ終わってるよね。そっからまたバスに乗って、コンビニでおにぎりを確保してから民宿へ。さすがにオッサンがいて。まあチェックインするんだけど、「今空港に着いたんですか?」「いや、昼過ぎに着いて、一旦ここ寄ってから、野球観てました」「いいですね、自分も行きたかったんですけど、cmizunaさんが16時にチェックインって書いてあったので」え? と思うんだ。時計を見ると16:45くらい。なんか、その、1ヶ月前に宿を取ったときにチェックイン時間を入力する欄があって、そこに16:00って入れたらしいんだよね。普段泊まるようなビジネスホテルだと、そこに入れる時間って全然参考くらいでいいし、たぶん1ヶ月前の俺も、到着直後にどうせ荷物置きにくるだろうし、まあ適当でいいだろうくらいのつもりで入れたの、完全に忘れてたよね。その結果がこの、京都人を的確に殺すような嫌味じゃん。うわあ……と思って。民宿という、主人との関係がいちばん大事な形態の宿において、初っぱなにこれをかましてしまいましたか……。俺は……ロッテファンにもかかわらず、うっかりでオッサンにロッテの試合を観てもらう機会を奪ってしまったのか……。年に2回しかない機会を……。つらい。取り敢えず宛がわれた部屋は二人部屋で、ここにはシャワーが付いてる部屋とのことなのだな。良かったと思って。ホテルを取った時点では、1人部屋の人は共有のシャワーを使ってね(ちなみに石垣島に銭湯はありません)という話(それは覚えてた)だったので、前日に念入りに陰毛を剃っておいたんだけど、余計な心配だったようです。
 部屋に入っておにぎりを食って、さすがに仮眠を取って20時にホテルを出て、港の繁華街に行きます。なんかねえ、この日、その練習試合もあるせいで、花火大会や出店があるみたいで。賑やかな中、俺はちょっと離れたところにあるベンチに座って人を待ちます。なんだ、星空観光ツアーというのに申し込んであったのだな。なんかね、石垣島のあるあたりって、そもそもビルの灯りが少ない上に、気流の影響を受けにくくて、星が日本で一番綺麗に見えると言われているらしいのだな。そのツアーって言うのは、その中でも星の見えやすい畑の真ん中に専用のスペースを用意して、寝っ転がりながら解説付きで星空を観察できるというものである。なんか、仮眠をとる前はあんなに昼間晴れてたのに、こうしてみたらかなり曇ってきてるし、あと花火で全体的に煙くてちょっと不安なんだけど、そこで待ってたら案内の人が来て、なんかオバサンの自家用車みたいのに乗らされるんだ。俺の他にもう1人、少しだけ日本語が喋れる中国人と、あとオバサンね。話では送迎バスが来るとのことだったのに、なんだこれ? と思いながら言葉少なに車に乗ってるわけ。街から離れて、その畑に入っていくらしいんだけど、なんか大きな道路から畑に入っていく、辺り真っ暗な角のところに「津波被害慰霊碑はこっち」みたいな案内板があって、「こええ……」と思い、そっから完全に農道に入ってもう肝試し(夏の真ん中だからな)感満開のところで急にオバサンが車を駐めて、「誰もいないわね〜ここじゃないのかしら〜?」とか言ってるの。それは俺も知らない。「え……iPhoneでマップ出しますか……?」「それで分かるのー?」「現在地くらいは……」「あ、いた! きっとあれだわ!」なんつって、畑の真ん中のプレハブみたいなとこにつけてくれるんだ、まあ、実際そこだよね。そこで準備が整うのを待って、まあ他ルートで来た客も何人か集まって、星空観察が始まります。
 雲の隙間に見える星を説明されたり双眼鏡で眺めたり。確かにえらい星が綺麗に見える。ちょっと畑の堆肥の匂いが漂っている。その、星がちかちか瞬かないっていうのが、気流の影響の少ないって意味らしくて。確かに綺麗にしっかり見える。「カシオペヤ座から北極星(にぬふぁぶし)の見つけ方って、覚えてるでしょうか、そこの方、覚えてそうですね」なんて指されている。「なんかを伸ばしてなんか7倍くらいするんじゃないですかねえ」「惜しいですね、5倍です」なんつってさ。まあ、1人で星空観察ツアーに参加してたら天文ファンだと思われるだろうよ。実際は、現実の宇宙には全く詳しくないただの無職だけどな。天体望遠鏡を使って月を見せてもらった。もうすぐ上弦の月らしい。ものすごく近くに見えて、クレーターまで見えてしまうと、あんま怖くなくなって、「もしかして、こいつ、あんま、俺のこと、狙ってないな?」と思う。幽霊の正体見たり枯れ尾花、月影の正体見たり月兎である。そのうちブログのタイトルを変えよう。