柳田国男 『遠野物語―付・遠野物語拾遺』

 遠野物語の方はずっと前に読んで、半年前に遠野行く前にも読み返したんだけど、拾遺の方は初読かな。遠野物語の方が本格的に伝奇って感じの話が多くて、つよいエピソードが多かったのに比べて、拾遺は下ネタっぽい話だったり(懸想が叶わなかった男が「そこの蕗で間に合わせろ」と言われたためそこの蕗の葉にはどれも真ん中に小さな穴が開いてるんだそうな)、普通に野生動物と戦った話とか初めて飛行機を見た話とか、話自体は「普通の話」に近いものが多くなっている。けど、やっぱり遠野物語の一番の力である、これはどこどこ村の誰の話で、っていう具体的な地名が出てくる地続き感はむしろ強くなってる。個人的に遠野に行ったあとだからそう思うのかも知れないけど。猿ヶ石川沿いの道路をチャリで走ったり続石を見たり、小雨でちょっとつらかったけど、ぜんぜん行って良かったな。

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)