河合隼雄,鷲田清一 『臨床とことば』

 臨床心理学者と臨床哲学者という肩書きで、現場での"実感"を言葉にして摺り合わせていくような対談。「そうかもな」って正しそうに思えることもあるけれど、それだけじゃなくて、不思議と「必ずしも正しくなくてもいいんだろうな」と思えるような、本当のことを言っている感じはする。あと、臨床の人の、相手の言葉を先取りして勝手に相手の語る世界を広げるようなことをしない、話の聴き方など。数年前に臨床心理士の人と喋ったときに「1つの話、深く掘りますねえ」って思った(つうか言った)けど、掘るは広げるの対義語だったのかなあ、など。色んな人と話してみたくなる本ではあるかな。

臨床とことば

臨床とことば