矢野大輔 『通訳日記』

　4年前にザッケローニが日本代表の監督に就任してからW杯に敗退して解散するまで、ずっとザックのそばで通訳をしていた著者の日記。最初から監督の中にあったビジョン、戦術をひたすらに体現しようとするスタッフ、それに応えようと一生懸命にプレイするプレイヤーたち、要所要所でゆるみが出てそれが出来なくなり、そこをきちんと締めようとする、の繰り返しの中で次第に生まれてくる中心選手との信頼関係が、最終的にW杯に応えてもらえないことを知っている分、ひたすらに哀しい。サポーターだってメディアを通じてそういう信頼関係のある素敵なチームなのもある程度分かっていたからこそ、なんで負けたのかをちゃんと誰かに理由づけて欲しいと思っていて、まあ興行中心でいっつも親善試合を日本でやるからいざ大事な本番をアウェーでやるとダメになるとかそういう辺りが、webとかでは分かりやすく叩かれたりしているわけだよね。まあ読んでる限り、最後の最後に相手のことを気にしすぎてるように見えるけど、もちろんよく分からない。とても面白い本であった。

通訳日記 ザックジャパン1397日の記録 (Sports Graphic Number PLUS)