北岡明佳 『錯視入門』

 色んな錯視がカタログ的に並べられている。入門は入門なんだけど、わりと研究寄りで、先行研究の整理という趣が強い。こことここの角度が何度から何度までなら錯視が起きる、みたいなことも書いてあるんだけど、そういうことを言うなら「起きない」場合の図も必要な気がするんだがなあ。
 まあ実際、渦巻きはぐるぐるするしムンカー錯視は違う色に見えるし、ありとあらゆる錯視にちゃんと騙されるし、そこにある程度の学術的な解説もつくので、錯視に関して「騙されないぞ!」っていう気で見ることの無意味さを悟らされる。なんつうか、2次元的な図ってのが現れたのって、進化論的に見るとちょう最近のことで、それを完全に正しくはまだ見れないんだな、人間って、っていう気になる。人類には2次元は早すぎるのだ。そして萌え絵に恋をするボクらは人類として新たなステージへ足を踏み入れたと言えよう。

錯視入門

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