2014-12-28から1日間の記事一覧

森見登美彦 『夜は短し歩けよ乙女』

京都という場所は、薄皮をめくった裏側にいかにも何か隠していそうで、その「ここめくれるんじゃないかな?」っていう穴がいっぱい開いているように見えるのが京都だと思っていて、そのめくった先にこんな狂乱があればいいなあという意味のファンタジー。夜…

川上稔 『境界線上のホライゾン ガールズトーク 狼と魂』

追想の中篇サイドストーリー。戦闘であって戦争じゃないので薄い。普段馬鹿やってるやつらに見えて、それで歴史になっていった人たちの重みを抱えていく役割みたいのがあるわけで、過去はそれが軽いぶんだけ色々未熟。GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン …

笠井献一 『科学者の卵たちに贈る言葉 -江上不二夫が伝えたかったこと』

戦中くらいに名大の教授になったくらいの年齢の生化学者、江上不二夫が後進の育成に際してかけ続けた言葉を、その弟子である著者が追想してまとめる。物凄い勢いで学生をおだてて、生物の実験の人なのに流行りに乗らずに独自に重要な課題をやろうとして、実…

唐辺葉介 『つめたいオゾン』

2人の人間の思考が混じって自己を失ってしまう病気、に罹ってしまった2人の少年少女がモラトリアム的な施設の監視の下に生きる話。少女が、もともと自分の生きてる意味が感じられない、それならまだ分離している今のうちに少年のために自死を選ぼうとすると…

桜庭一樹 『無花果とムーン』

色々歪んだ少女の1人称から語る、義兄弟を亡くしてそれを受け入れるまでの不思議な話。その、普通のラノベとかだったら疾走感とかで誤魔化される少女主人公の暴走を、いちいち周りの人が諫めて、その性格の悪さを指摘したり、あとは文体自体が妙に読みづらく…

山田奨治 『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』

今やってるお勉強の内容に著作権が入ってて、まあこれが、普通にweb見てるだけでこれまでの権利団体のクソみたいな統計に触れる機会が多かったわけで、そんな結果で作られた条文を見る度にわりとモヤモヤする、しかもちゃんと調べてみると、その利益誘導で作…

戸田山和久 『科学哲学の冒険』

科学哲学の入門書。優しい口調で、科学的手法の正しさの根拠を問うための色んな議論を概観する。個人的にこれまで物理やってたのは"超弦理論"って言葉に興味があっただけで世界の成り立ちはたいしてどうでもよい、更に言えばその超弦理論が現実になにか反証…

『リスアニ! Vol.19』

I'veが珍しく真面目に音楽のインタビューを受けていると聞いて買ってきたのだ。まあ雑誌全体、インタビュー以外の部分を埋める文章が、なんか素人の思いつきインプレッションになんでも"感"って付けただけの、クソほどの説得力もない文章をどうにかするため…

米原万里 『旅行者の朝食』

食べ物に関する短いエッセイを集めた1冊。食というのは文化とかアイデンティティにほんとに根強く結びついているもので、オリジンが2つあるぶんそこのギャップを上手く使えて、更に雑学的な知識を混ぜるとエッセイの重さとしてちょうどよい面白さになってい…